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短編小説よりさらに短いショートショートを発表してください。1,000文字から2,000文字以下で、1つのエントリーで完結して読めるようなものをお願いします。
テーマ投稿数
1,860件
参加メンバー
144人

ショートショートの記事

1件〜50件

  • #王昭
  • #ミリタリー
  • 2022/09/23 14:14
    第26話 早め早めの伊藤さん、せっかち武藤さん。

    「早め早め」と「せっかち」はほぼ同義語のようでありながら少し違う感じもする。 10ほど年上の会社の先輩、伊藤さんと武藤さんは同期。伊藤さんは総務、武藤さんは営業と部署は違うが大の仲良しで、二人で飲みに行く姿をしばしば見かける。 伊藤さんはとにかく早め早めの人だ。それは早く!早く!とあたふた急がせるわけでもなく、穏やかにそつなく確実に終わらせていくタイプだ。総務部の掛け時計はいつも5分進めてある。会社には誰よりも早く着いているらしい。 以前社員旅行のあった頃、時間を間違えて1時間以上早く待ち合わせ場所に着いてしまった時、伊藤さんはひとりゆっくりとコーヒーを飲んでいた。「おう、早いな」「時間間違え…

  • 2022/09/16 12:31
    第25話 朝、指名手配犯と

    朝の通勤は決まった時間に出る人が多いのでいつもの人に会う確率は高い。 駅へ向かうバス。バス停では60代の太ったおじさんと40代のO Lとぼくの3人が決まったメンバーだ。おじさんとは稀に挨拶をするが「暑いですね」「寒いですね」それ以上の言葉はない。女性は何度か駅前のスーパーで見かけたことがある。お菓子コーナーでチョコビを買っていたので小さな子供がいるのだろう。 電車の中。始発駅の3人がけの右端がぼくのポジションだ。少し遅れていつもアディダスを履いている40前後の女性が左端に座る。スタンスミスだけで数種類持っているほどのアディダス好きだ。職業柄なのだろうか?ひと駅進むと若い男性が間に座る。この若い…

  • 2022/09/09 12:20
    第24話 サイババみたい

    サイババをご存知だろうか? インドのスピリチュアルリーダーで教育、社会、医療に多くの奉仕した人として名を馳せたが、ぼくは手から砂(聖灰)を出す人としてのイメージが強い。 実はぼくもその能力を身につけてしまったのだ。数日前から右の手のひらがムズムズする感覚があった。その時は虫にでも刺されたのかと思って気にもとめていなかったが、日が経つにつれその感覚はムズムズから今まで味わったことがない浮遊するような感覚へと変わっていった。 妻と子供たちはスーパーへ。ぼくはひとりで遅めの朝食をとっていた。テーブルがざらついている。子供が砂糖をこぼしていったようだ。やれやれ、テーブルを拭いていってくれればいいものを…

  • 2022/09/09 12:20
    第23話 鈴木さん、リーチです。

    今住んでいる所へ引っ越してきてから早いもので10年以上の月日が経った。世代交代が進んでいる住宅街でお年寄りが多い一方で我が家のように小さな子供がいる家庭も年々増えている。 世間では近所トラブル、ゴミ屋敷等々住みにくいところもあるようだけど、ここはそんなことは一切なくて良いところに住めて良かったと今更のように思う。あえて言うのであれば子供が騒ぐ声が通りに響き渡る我が家こそが迷惑な家なのかもしれないが、クレームを受けたことはないし、お隣の佐藤さん老夫婦はいつも僕たちに優しい。 日本の苗字のベスト3は佐藤さん、鈴木さん、高橋さんであることを先日テレビで見たが、確かに町内にこの御三方は複数軒いる。 左…

  • 2022/09/02 12:26
    第22話 夏子シンドローム

    夏子さんは営業事務をやっている50代独身の女性だ。 夏子さんは仕事をそつなくこなす。小さいミスを見つければ必ず連絡をくれる。「そんな小さなことどうでもいいじゃなか」という人もいるが、夏子さんの小言は会社に良い働きをもたらしていることは間違いない、と思う。 それどころか夏子さんの発言は会社に大いなる影響を及ぼすことがある。朝礼での前日の報告、今日の予定など夏子さんが何か言うんじゃないかと皆ピリピリしている。「なんか言わないでくれ」という思いでその時が過ぎるのを待っている。 そんな夏子さんの一言を誰かしらが夏子シンドロームと名付けた。 「外階段が汚いのできれいしたらどうでしょう?」ああ、言ってしま…

  • 2022/08/30 12:48
    第21話 高速寿限無

    「もっとゆっくりでいいからしっかり読みなよ」 小学校の宿題に「音読」がある。字の如く声に出して読むことなのだが、下の男の子はこの音読を高速で終わらせたがる。早く宿題を終わらせたいというより、速く読みたいらしい。とにかく速く読みたいらしい。 ぼくに似たのか準備や整理が苦手で、「早く」やることを事あるごとに言い聞かせたが息子はこれを「速く」と解釈したのだろうか、物事をスピード重視で進めることが多く、それに快楽を覚えている感がある。 学童で流行ってるというけん玉を買ってあげたことがあった。初めは大皿に乗せることにも難儀していたが、やはり子供は飲み込みが早い。その日のうちに大皿、中皿、小皿を制覇してい…

  • 2022/08/29 12:25
    第20話 H.ONDA

    家の近所のアパートに20代後半の青年が住んでいる。アパートの前にはホンダのバイクが停まっていて、休みの日にバイクで出かける姿を見かける事がある。 ぼくも昔、深夜勤務があった頃、通勤用に中型免許を取ってカワサキのバイクを乗っていたことがある。通勤用に単に足代わりに使っていたぼくと違い彼は根っからのバイク好きなのだろう、いつもピカピカに磨かれている。 ツーリング仲間なのだろうか、休日には数台のバイクが停まっていることがあって、僕たち親子がララ(我が家の可愛いメス犬)の散歩でアパートの横を通ると彼は「ヒロ」と呼ばれていた。表札から「恩田」であることは分かっていたので「恩田ヒロシ」「恩田ヒロユキ」そん…

  • 2022/08/26 12:31
    第19話 おじさんはタクシードライバー

    おじさんはタクシードライバーだ。いや、正確には引退したからタクシードライバーだったということになる。おじさんというのは親父の兄の明おじさんのことで、このおじさんが破天荒というか、かなり無茶苦茶な人生を歩んでいる。二度の離婚歴があり、子供は二度目の結婚で二人の男の子を設けた。ぼくは下の子と同い年で年に数回程度だがLINEでやりとりしている仲だ。 二度の離婚ともおじさんの無茶苦茶な言動によるものらしい。その内容を親父が「兄貴はほんとしょうがない」と呆れたように、それでも嬉しそうに話しているのを聞いた。 「急いで空港へ行ってくれ!飛行機の時間に遅れそうだ!」「お客さんがそういうから、高速道路を200…

  • 2022/08/26 12:31
    第18話 りんご箱からサインボール

    ぼくが子供の頃、子供たちのスポーツと言えば野球だった。遊びでサッカーをやったりもしていたけど、断然野球だった。地域の少年野球クラブに入っていたし、よく親父とキャッチボールをやったものだ。暴投をすると「取ってこい!」と取りに行かされたことを思い出す。ぼくは誕生日プレゼントに買ったもらったミズノのグローブを使っていたが、親父のグローブはどこのメーカーかもわからない形も崩れたものだった。今ぼくも父親になってその気持ちがわかる。限られたお金は自分にではなく子供のために使いたかったのだと。 実際うちの子はナイキやアディダスの靴を履いているのにぼくはスーパーの安売りの靴をはいている。それを嫌だと思ったこと…

  • 2022/08/24 12:32
    第17話 源泉垂れ流し

    何となくそれと分かるけど、間違えて覚えてしまっている言葉がある。 ぼくは子供の頃「8日」を「はつか」と思っていた。そのせいか「はつか」と「ようか」は今でも意識してしまう。 ぼくの奥さんはそんなぼくをはるかに凌駕している。「団塊の世代」を「だんこんのせだい」「順風満帆」を「じゅんぷうまんぽ」分からないでもないけど、、、 先日プールの授業が嫌いという娘に対して「練習しないと、トンカチになるよ」「なにそれ?」「トンカチは沈んじゃうでしょ。だから泳げない人のことトンカチっていうの」冗談で言っているのかと思った、、、 そんな奥さんとまだ結婚したばかりの頃、二人で草津温泉に行った事がある。草津温泉といえば…

  • ブログみる効率的にブログをみる - キャンプの時間
  • 2022/08/19 12:29
    第16話 リアル ジャイアン

    ドラえもんはいつから始まったのだろう? こんなに長い間愛され続けているコミックは他にあるだろうか? ぼくが子供の頃からアニメ放送されて以来、今では子供たちが土曜日の放送を待ち望んでいる。ぼくも一緒に見てしまう事があるがおもしろい。 ドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫、しずかちゃんのトップ5。出木杉、ジャイ子、主要メンバーの親たち、カミナリさん、ドラミちゃん、クラスメイトの帽子の少年、小太りの少年、伊藤つばさちゃん。サブのメンバーも強力だ。 どっかで会った事があるようなキャラがまたいい。いつも点数が悪い子。いたいた。ややもするとうち末っ子が、、、いや足はめちゃ速いから同じではないか、、、。 …

  • 2022/08/02 12:30
    第15話 庭から不発弾

    一昨年の夏祭りでとった金魚の成長が止まらない。2センチ程度だった金魚は20センチを超え水槽の中で苦しそうに泳いでいる。 「水槽大きくしないとダメだな」「でも邪魔じゃない?」「おじいちゃんちみたいに池にしようよ」「面白いね〜」結局子供たちの意見が採用になった。 快速に乗れば都心まで1時間程度だが、片田舎と言ってもおかしくないこの土地では20坪ほどの庭がある家が多く、ぼくの家にしても例外ではなかった。いくつかの草木は植えているものの小さな池を作るには十分な広さがあった。 ペットショップで埋め込みタイプのプラスチックの池とポンプを購入。全長が1.5メートル位のひょうたん型で深さが30センチ。それが収…

  • 2022/07/28 12:46
    第14話 カリンの嫉妬

    結婚する前に軽井沢に旅行に行った時、ペンションで出してくれた手作りのかりん酒がたいそう気に入った妻はペンションの奥さんに作り方を聞いていた。庭にはかりんの木があり多くの実をつけていた。 庭のある家に住んだ時かりんの木を植えたいという妻の希望に応えることができたのはそれから数年後のことだった。苗木を植えてから3~4年経ったころだろうか、すくすくと背丈を伸ばし見事な実をつけだした。しかしその時にはかりん酒への情熱はとうに冷めていた。それでもかりんは毎冬鈴なりに実をつけていた。その実は落ちるまでほっとかれ、落ちたらそのままごみ袋に入れられ、重いと文句を言われ、かわいそうな庭の木となっていた。 「なん…

  • 2022/07/15 08:35
    第13話 じょんがらブギ

    子供たちと公園で遊んでいると散歩中の吉田さん夫妻を見かけた。二人は公園に入るとぼくに気づき軽く会釈をしてベンチに座る。 70を機に退職して、近所のレンタル農園を借りて晴耕雨読の毎日らしい。ぼくはあることを確かめたくて二人のところへ行った。 「こんにちは、今年は夏祭りやるそうですね」 ぼくの住む町内会の夏祭りは、盆踊り、カラオケ大会、ビンゴ大会となかなかの充実ぶりだ。夜店はプロの店をはじめ、子供会、サッカーチーム、町内の有志と多くの出店がある。夏祭りの開始のカウントダウンは市長が行うのが恒例になっている。 そんな夏祭りもここ2年は流行病の影響で中止になっていたが、今年は3年ぶりの開催となる。もっ…

  • 2022/07/12 12:22
    第12話 忍者の末裔

    親戚の義孝くんの結婚式で三重県伊賀市に行ってきた。招待は父と母だったが、最後に会ったのは何十年も前だし、三重県に行くほどの元気もないので「お前代わりに行ってこい」という指令を受けた。「ぼくなんて小学校の頃一度会っただけで覚えてもいないよ」「どうせ人数合わせだから誰でもいい」 旅行がてらで前乗りで伊賀に行くことにした。多くの人がそうだと思うが、伊賀と言って思い出すのは忍者しかない。そういうわけで伊賀流忍者博物館へ行くことに。 忍具展示、からくり屋敷と興味深く見ることができた。極めつけは忍術実演ショーで迫力満点。手裏剣が板に突き刺さる音は「おーっ!」と思わず声を上げてしまった。その後は城下町お菓子…

  • #ワン・ソ
  • 2022/07/08 12:25
    第11話 ベンジャミン文庫

    母はブログで恋愛小説を書いている。ブログタイトルは「ベンジャミン文庫」ベンジャミン好きの母らしいタイトルだ。実家には数種のベンジャミンがリビングや出窓、トイレに置いてある。母の日にはカーネーションではなくベンジャミンを送るのが恒例になっている。 禁断の恋が中心のブログでファンもそこそこいるらしいく、ぼくもいくつか読んだことがあるが、自分の母親書く恋愛小説はなんだか読んでいて恥ずかしいくなったのを覚えている。 妻帯者の上司と事務員教師と生徒ママさんバレーのコーチとママさんなどなど 作品の特徴としてドロドロの関係というものはなく、叶わないとわかっている切ない胸の内を描くものになっていた。「ローマの…

  • 2022/07/07 08:17
    第10話 UFOがルイルイ

    家の前で子供たちとキャッチボールをしていた時、かすかな耳鳴りを覚えた。慢性疲労とストレスからきているのだろう。休みでも子供に急かされ寝ていることはできないのだから。今までも耳鳴りはあったが今回のはいつもとは違い、耳鳴りはどんどんと大きくなっていった。 「やばくない、この音。キーンって。すごい」 子供たちも騒ぎ出している。これは、あの時ぼくだけ聞こえなかったモスキート音なのだろうか?UFO飛来したあの時、子供だけに聞こえたモスキート音が聞こえるようになったのだろうか? 空を見上げる。 うわぁぁぁ、、、マジかよ。 上空にはUFOが群がっている。重なり合っているようにも見える。 左:UFO群 右:拡…

  • 2022/07/01 12:33
    第9話 老人とエレベーター

    スーパーのエレベーター乗り場でのこと。 先頭にいる老夫婦の会話。「なんで上を押すんだ」「だって上に行くんでしょ?」「馬鹿だな、お前は。今上にいるんだから、下へ来いってやらなきゃだめだろ」 昭和を思わせる亭主関白ぶりに奥さんは何も言えずにいたが、救世主になったのはたまたま居合わせた清掃係のシルバー作業員だ。 「上行きたいなら上押してくださいね」 旦那さんは気まずそうな顔でプイとそっぽを向く。奥さんは作業員の方に軽く会釈する。その姿にはしりやったり感はなく、あくまてまも控えめだ。 それにしてもエレベーターを呼ぶという考え方は面白い。行く方向を示すのではなく、まずお前がこっちに来いという姿勢はやはり…

  • 2022/06/29 12:27
    第8話 金柑とキンカン

    同じ読みでも違うものは沢山ある。 雨と飴。花と鼻。紙と髪、、、 それによる勘違いというのもある話しだ。学生時代にアルバイトで一緒に面接を受けた山田くんは、面接官から以前やっていたアルバイトは定期でやっていたのですか?の問いに、 「いえ、切符です」と答えた。 いや、話の流れから定期的にという意味でしょう。完全にツボに入ってしまい、笑いを堪えるので大変だったことがあった。 山田くんとはそれから2年間卒業するまでアルバイト仲間して楽しい時を過ごしたが、卒業を期にUターン就職してしまった。山田くん元気にしていますか? 最近、同音異義語による勘違いで驚いた事があった。 頭痛持ちのぼくは頭痛薬を常用してい…

  • 2022/06/28 12:32
    第7話 うんがつく

    15歳になるアメリカンコッカースパニエルと暮らしている。すっかりおばあちゃんになって寝ていることが多くなった。締まりも悪くなっているようで、うんちを所定の場所でした後もポトポトとこぼれうんちが床に落ちている時がある。うんちをした時は回りに注意!が家族の暗黙のルールになっていた。 それでも数ヶ月に一回は誰かが踏んでしまう。なんとも言えない気色の悪い感触は他に例えようがない。この時の被害者は次女で椅子の影に隠れて見えなかった物体を踏んだ途端に悲鳴をあげた。靴下は洗ったもののもう履く気はないというので、スーパーへ買いに行くことになった。 代わりの靴下をレジへもっていくと近くに花火のくじ引きがあったの…

  • 2022/06/27 16:10
    第6話 ジョン、ポール、ジョージ、アップル

    僕の親父はビートルズ来日公演に行ったことがある。都合の悪くなった知り合いからチケットをもらって行ったものの黄色い声ばかりで演奏はまともに聞こえなかったと言っていたが、事あるごとにこの日のことを楽しそうに話している。 小学校3年生の時、親父に「4人はアイドル」のアルバムを買ってもらった。歌詞カードに載っている4人の写真の下にジョン、ポール、ジョージ、リンゴと教えてもらった名前を書いてから、4人はぼくのアイドルとなり何十年と聞く続けることとなった。 ビートルズと出会って何十年という時が過ぎ、子供が学校でカッコいい歌を聞いたと歌ってくれた。「あかるい みなみのまちの~♪」どこかで聞いたことがある。こ…

  • 2022/06/24 09:56
    第5話 ジョニー・ピー・グッド

    親父の実家は長野県安曇野市で代々続くりんご農家だが、8人兄弟の7番目の親父は実家に残ることはできずに中学を卒業すると同時に集団就職で東京に来た。子供の頃は家族で夏休みに遊びに行ったりしたもしたけど、最近では冠婚葬祭に行く程度になった。 家業を継いだ長男の十三回忌にすっかり足腰が弱った親父の代わりに家族旅行がてら安曇野市に行くことがあった。平成の大合併で市になったものの元は村だった土地はやはり村というにふさわしい。久しぶりに訪れた親父の実家は建て替えをして綺麗になっていたが昔の面影は残していて懐かしさが込み上げくる。四方を山に囲まれた土地に子供たちも興奮気味だ。 十三回忌の施主は僕と同い年のよっ…

  • 2022/06/23 12:36
    第4話 トム・クルーズと牛丼

    バラエティ番組でタレントが来店した時の写真やサインが店内に掲げられているのはしばしば見る光景だ。僕が住む片田舎でも例外ではなく、ラーメン屋、佃煮屋、定食屋でお笑いタレントや元スポーツ選手が店主とにこやかに写っている写真を見ることができる。 隠れ家的な店にお忍びで芸能人が来ているなんていうのも聞く話で、芸能ニュースが好きな妻は「〇〇ちゃんってこういう店が好きなんだぁ、意外」と興味津々。 僕が遭遇したのは半端な有名人じゃない。僕が遭遇したのは、トム・クルーズだ。それも僕が住む片田舎の駅前にある松屋。 それはトラブル処理で忙しく昼食も取れず空腹に耐えきれなくなり、帰宅前に松屋に飛び込んだときのことだ…

  • 2022/06/22 12:46
    第3話 回転レシーブ

    中学時代バレー部だった。一生懸命やってはいたけれど、三年間を通して補欠でレギュラーになることはなかった。 顧問の権藤先生は変わり者で、回転レシーブに異常な情熱を注いでいた。その情熱は常軌を逸していて、練習の半分を回転レシーブにあてるほどで、前転、側転のマット運動を取り入れていた様を見て、他の学生たちは回転レシーブ部と揶揄していたりもした。 ある日の試合のこと、全国大会にも出たことがある強豪校相手で、到底僕たちが太刀打ちできるできるわけもなく大差で負けたが、試合後のミーティング権藤先生はその結果に触れることはなく、何度か回転レシーブを決めたレギュラーたちをほめ上機嫌だったことを覚えている。 バレ…

  • 2022/06/22 12:46
    第2話 UFO飛来

    子供たちと近所の公園でフリスビーで遊んでいたとこのこと。「キーンって聞こえない?」「なにこの音・・・」 ぼくにはまったく聞こえない・・・。若者にだけ聞こえるというモスキート音だろうか?通学途中のお年寄りの家の前を通るときも子供たちは同じように「キーン」という音が聞こえると言っていた。猫退治でモスキート音を出す装置があるらしいが、家の近くでそんなことを言うのは始めてだ。 ふと空を見上げると、皿のような形の物体が雑木林に飛んでいった。 「UFOだ!」 思わず声を荒げてしまった。 UFOは放物線をえがくのではなく、ある高さまでいった後、まるで風に押し戻されているかのように雑木林の向こうにほぼ垂直に消…

  • 2022/06/22 12:45
    第1話 バッテラ日和

    バッテラ研究の権威 二階堂先生がバッテラ指数を発表したのは先月のこと。 天気、温度、湿度、風などからバッテラを食べるのにふさわしい日を5段階であらわした指数はバッテラ愛好家の間で話題になっていた。 今日の天気はどうだ。春の柔らかな暖かさに桜が青空に彩を添えている。 二階堂先生のサイトと見るとぼくの住む地域はやっぱりバッテラ指数5。 今日はバッテラ日和だ。 バッテラ仲間の後藤さんからLINEが届く。龍ヶ崎にあるバッテラ専門店「吉住」への誘いだ。無論断る理由はない。常磐線から関東鉄道に乗り換え龍ヶ崎駅に降り立つ。間口一間ほどの小さな店の傍らには「バッテラ日和」ののぼりが立っていた。 「先生も面白い…

  • 2022/06/14 17:18
    短篇小説「二次会の二次会」

    今夜も我ら「二次会」は大いに盛り上がった。「二次会」といっても正確にはまだ「二次会」の一次会で、これから我々はいよいよ「二次会」の二次会へと向かうところだ。 我々が言うところの「二次会」というのは二次的、つまり各所で副次的な役割を果たす人間の集まりで、副部長、副店長、副支配人、副キャプテンなど、その肩書きに「副」の字がつく人々が一堂に会するサークルである。それぞれが副次的な役割に甘んじているがゆえに、そこは自然と愚痴の温床になる。ゆえにサークルというよりは、いっそ秘密結社と言ってみたくなる気分もある。上司(=副次的でなく主たる役割の人々、たとえば部長や店長)への愚痴が違いを惹きつけあうように、…

  • 2022/06/09 14:40
    自作短篇小説「窓のない観覧車」をマインドマップ化する試み(本末転倒)

    小説を書く手段として、いわゆる「マインドマップ」というものを使ってみようと思った。いま流行っているのか、それともだいぶ前から流行っているのかもしれないが、以前お笑い芸人のかが屋がネタ作りの際に使っていると聴いて、なんとなく気になってはいた。あの言葉が枝分かれしていく、チャートみたいなやつである。とはいっても、いきなり何をどうやっていいのかわからない。ということで、まずは自分が先日ここに書いた短篇小説「窓のない観覧車」を、マインドマップ化してみてはどうかと考えた。通常とは逆の手順になるが、手はじめには素材があるほうがやりやすい。tmykinoue.hatenablog.comソフトはとりあえず、…

  • 2022/05/26 17:41
    短篇小説「窓のない観覧車」

    窓のない観覧車に、髭のない少年が乗っていた。窓のない観覧車は不粋だが、髭のない少年は不粋とは言えないだろう。少年にこの先、髭が生えてくるかどうかはわからない。 もちろん高所からの絶景など、望むべくもない。だがどれだけ待っても観覧車に窓がつかないのは、まず間違いのないところだった。足し算から掛け算の時代を経て、いまや何ごとにつけ引き算の求められている世の中だ。そんなご時世、なにかしらオプションが増えるというのはあり得ない選択肢というほかない。 それは観覧車というよりは、荷物を載せて運ぶコンテナというほうがふさわしかった。それに乗って観覧できるものといえば、ただ錆の浮いたコンテナの無愛想な内壁だけ…

  • 2022/05/21 17:32
    短篇小説「帰ってきた失礼くん」

    「失礼しま~す!」 今日も失礼くんが、元気よく知らない店に入りこんでゆく。本日の訪問先はパン屋だ。しかし失礼くんは特にパンを食べたいわけでも、誰かにおつかいを頼まれているわけでもない。ただ純粋に、失礼したい一心でそう言っているのだ。「ほら僕って、朝はごはん派じゃないですかぁ」 入口付近にあるトレイとトングを手にした失礼くんは、トングを無理やり箸のように握ってそう言った。店内には他に客も店員もいるが、特に誰に向けて言っているわけでもない。みな知らんぷりを決め込んでいる。もちろん彼にわざわざ朝食の好みを訊いた者など、誰もいなかった。「だけど最初にこのトレイとトングを手に持ってしまったからには、もう…

  • 2022/05/13 16:27
    短篇小説「芝生はフーリッシュ」

    どうやらわたしは公園のベンチで、サングラスを掛けたまま眠り込んでいたらしい。おかげで昼か夜か、起きてすぐにはわからなかった。サングラスを外すと、これまでに見たことのないような、色とりどりの世界が目の前に広がった。色とりどりにもほどがあった。それはつまり自動的に、夜ではないということになる。 正面にフーリッシュグリーンの芝生が広がり、それを囲い込むように配置されたオールドスクールレッドのベンチの脇には、ミートボールブラウンの土に満たされた花壇が並んでいる。 花壇のそこここには、アコースティックブルーやオルタナティヴイエローやジューシーオレンジに彩られた花が咲き乱れ、その傘の下をデスパレートブラッ…

  • 2022/03/08 10:33
    性同一性障害の女?

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。拙い文章ですが、是…

  • 2022/03/08 10:33
    臓器売買する男

    こんにちはトクです。 本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。拙い文章ですが、…

  • 2022/03/07 12:08
    ある国の帝王学

    ある所に、何千年もひとつの王朝が支配して来た歴史を持った国がありました。世界中の国の中で、最も古い王室でありました。昔は、王様がすべての権力を握っていたのです…

  • 2022/03/07 12:08
    崖っぷちの男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございます。 最後までお付き合いをお願い致します。その男は、崖っぷちにいた。一流大学を優秀な成績で卒業を…

  • 2022/03/07 12:08
    記憶喪失の男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございます。拙い文章ですが、創作物語を書いてみたいので、最後までお付き合いをお願い致します。その男は精神…

  • 2022/03/07 12:08
    4度死んだ男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も創作物語を書いてみたいと思います。拙い文章ですが最後までお付き合いをお願…

  • 2022/03/07 12:08
    希死念慮の男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m   今回も拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思いま…

  • 2022/03/07 12:08
    狼男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございます。 拙い文章ですが創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。最後までお付き合いをお…

  • 2022/03/07 12:08
    あらすじの男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思いますので、どう…

  • 2022/03/07 12:07
    新説「浦島太郎」

    こんにちはトクです。 本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も拙い文章ですが創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。是…

  • 2022/03/06 10:12
    霊能力を持つ女

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。最…

  • 2022/03/06 10:12
    眠れない男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。拙い文章ですが、最…

  • 2022/03/06 10:12
    病気好きな男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。拙い文章ですが、最…

  • 2022/03/06 10:12
    人の肌の色が違うわけ

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も拙い文章ですが創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。最後…

  • 2022/03/06 10:12
    前世を知った男

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m  拙い文章ですが、今回も創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います…

  • 2022/03/06 10:12
    統合失調症の男

    こんにちはトクです。 本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m今回も拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。…

  • 2022/03/06 10:12
    高飛びの村

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m 拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。最後ま…

  • 2022/03/06 10:12
    消えた夫婦

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m   今回も拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思いま…

  • 2022/03/06 10:12
    「敵は本能寺にあり」ではなかった

    こんにちはトクです。本日もブログ訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m 今回も拙い文章ですが、創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。…

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