KANATA 4
「え?」 画面を凝視したまま、動くことが出来なかったのは、 これが写真ではないと分かったからだ。 何故なら、彼の背景に映るものが、動いている。 見たこともない花が揺れ、彼の後ろを、 ゆっくりと馬が歩いて行ったのが見えた。 瞬きをすることも忘れて、食い入るように画面を見つめていると、彼は、柔らかく微笑み、こちらに手を振った。 そうして、画面の向こう側から、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。 開いた口が塞がらない。とは、このことだろう。 あまりの驚きに、返事も出来ないでいると、画面の向こう側から、更に声が聞こえた。『元気だった?』 「・・・あなた・・・」漸く、それだけを呟くと、その後に続いたのは、涙だっ…