野田の話が気になり、俺はつくしの部屋に向かった。花と木(それとエロ本)にしか興味のない野田にも判ったぐらいの高嶋の態度・・・はやり何か企んでるな?と思ったから。「つくし、入るぞ~」そう言ってドアを開けたが・・・・・・そこにつくしの姿はなかった。でも鞄はあるし、着ていた服も脱いである。それに部屋の隅には小さなスーツケースが広げられていて、そこにはカラフルな下着が山ほど置いてあった。・・・なるほど、これがグランピ...
時間はあっという間に過ぎ、14時45分・・・類は藤本を待たせている西門邸に戻らなくてはならない。社用と私用のスマホを確認したが、少し前に総二郎からメッセージが1件入っていた。それを読むと、『町田を出るときには連絡するように』との事だけで、それ以外の言葉はなかった。つくしも保育園に行かなくてはならず、ソワソワと時計を見ている。その不安そうな「母親の顔」を見て、類は微笑ましい気持ちになった。「真音のお迎...
今日は通いの家政婦が来ているようで、無表情な女性が1人、せっせとテーブルに軽食を運んでいた。リビングには大きなクリスマスツリーがあり、壁にもクリスマスリース、窓辺にはポインセチアが並び、まるで12月のホテルロビーのような派手な飾り付けだ。そのクリスマスツリーはゴールドのライトが光るだけの大人っぽいもので、瑛翔も冷めた性格なのか感心はなさそうだ。真利愛は美央に後ろに隠れ、無言でこの部屋を見回している...
That's why I'm here…
近畿地方を直撃しそうだという台風並みの猛威を振るう春の嵐の影響で、ここ東京でも断続的に雨が降っている一日だった。車に乗り込んだ時は殆ど止んでいたのに、邸に向かって夕方の混み始めた道を進んでいると、急に土砂降りになった。車のボンネットを叩く雨音が俄かに激しくなり、運転手は低速で動かしていたワイパーを高速へと切り替えて、何とか視界を確保しようとしている。「大野さん、雨が小降りになるまで無理に走らなくて...
村に戻った類。傷を負った腕は田村がハンカチを巻いてくれている。村に診療所があると思っていたらすぐに車に乗るように言われた。『診療所はここに無いんですか?』『あぁ。ここから車で15分ぐらいか?』『じゃあ先ほどの少年はそこまで走って?』『あははっ、まさか!ここに戻り誰かのバイクの後ろに乗って見に行ったと思うよ。まだ戻っていないという事は先生がいるんじゃないか?』診療所まで車で15分。もちろん診療所という事...
ホテルに到着した類。もちろん普段利用するようなホテルではなく簡素なホテルだ。部屋は二人部屋。入ると直ぐに鍵をかける。洗面台へ行き蛇口をひねると勢いの弱い水が出る。もう少し人口が多い都市なら高級ホテルがあるだろうが、ここの州はかなり田舎だ。贅沢は言っていられない。「類様。食事はいかがいたしましょうか?」「ホテル内にレストランはある?」「聞いてみます。」田村はフロントに電話をかけ聞いてみる。すると一階...
こんにちは😃(@ayuminha614)です🐱なんと嬉しいことが!!!私の記事、『アマン東京』スイートルーム宿泊記(最終編)が、旅行情報サイトさんに掲載されましたーーー!!!↓(1.3ビュッフェまとめの後)今回頂いたお話しは、初めての『相互
― 西京の門 ― 夜が明けると柔らかな日差しが馬車を包み込んでいた。 ここに着いた時は、まだ水滴を落としていた馬車も今では薄っすらと朝露が滲む程度だ。 馬車…
再び村に戻った類は、先ほど取った蜂の巣からの蜂蜜採取方法を見る。巣を分解し中から蜂蜜を絞り出している。日本のように巣箱型ではない為、安定供給は難しいと感じる。類は村長から説明を聞きながら見ていたのだが、不意に問われた。『先ほど先生と違う言葉で話していたようだが?』『はい。私は日本人なのですが、先生は学生時代の私の後輩でして親しくしていました。暫く会っていなかったのですが、こんなところで偶然再会し驚...
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