第86話 花残 act.24 side story「陽はまた昇る」
求めたい、けれど英二24歳4月第86話花残act.24sidestory「陽はまた昇る」一緒にいたいのは、なぜ?問いかけた唇を風かすめて冷たい。こんなこと訊くつもりは無かった、自嘲に英二は笑った。「ちょっと酔いました、熱燗うまいですね?」笑ってワンカップ口つけて、ほろ甘い香が熱い。四月初め冷たい月、息ふっと白く染まった。「うまいよね、今日みたいに寒いとなお良いよ、」穏やかな声が笑って、かすかなアルコール大気に舞う。月光に冴える屋上の空、先輩が言った。「誰かと一緒にいたいって、恋人のこと?」聞き流してはくれないんだな?つい零れてしまった自嘲に微笑んだ。「そう俺は想ってたんですけど、」答えながら疼きだす。たった3時間前、君に言われたこと。『正義感と恋愛感情、どちらの為に僕といてくれたの?』黒目がちの瞳が自分を見あげ...第86話花残act.24sidestory「陽はまた昇る」