「オレの愛しい王子様」第21話 プロポーズ
「え……桔梗さん……?」創真は扉のところで立ちつくしたまま、目を瞬かせる。執事に案内されて入室した西園寺家当主の書斎に、なぜか桔梗がいたのだ。彼女は流れるような所作で応接ソファから立ち上がり、会釈する。創真も怪訝に思いながらつられるように頭を下げた。「桔梗にも関係する話なのでな」「あ、はい……」奥の執務机にいた徹は、創真のつぶやきにさらりと答えて腰を上げた。この面会は翼が執事を通して取り付けてくれたのだが、その際に婚約に関する話だと説明していた。だから当事者である桔梗を呼んだのかもしれないが、創真としては完全に想定外である。もちろん彼女にもあとできちんと話をするつもりではいたが、いまはまだ心の準備ができていない。徹に報告するためにようやく気持ちを整えたばかりだったのに、また乱れてしまった。「そちらにお掛けなさい...「オレの愛しい王子様」第21話プロポーズ