第86話 建巳 act.34 another,side story「陽はまた昇る」
Thataftermanywanderingskenshi―周太24歳4月第86話建巳act.34another,sidestory「陽はまた昇る」白い光、薄紅ふくんだ花の風。「わぁ…」こぼれる声に花かすめて甘い、光いっぱい空の門。細めた眼もと花ふれて掠めて、ほら?記憶ゆすられる。『あんた、この春の新入生?』あの日、警察学校の門であなたに出会った。春三月の終わり2年前、父の軌跡を追うために立ったあの場所で。―あのとき僕、いやだなって思ったな…さいしょは、あなたの昏い眼が僕を見た、きれいで無機質な貌の深い鋭い視線。冷たい仮面のようで、けれど瞳の深く僕に問いかけた。“俺の答えを知っている?本当は生きる意味と誇りを、ずっと探している”この疑問に応えられる?そんな問いかける瞳に惹きこまれた。惹きこまれて、それよりも立ち...第86話建巳act.34another,sidestory「陽はまた昇る」