短篇小説「某校の卒業式」
今日は晴れて我が校の卒業式であった。それはこのたび、晴れて卒業を迎えた私にとって忘れられぬ卒業式となった。忘れるほうが難しい、といったほうが正確かもしれない。 我が校の卒業式は、廃線となったかつての最寄り駅のホームを貸し切りにして行われる。だからといって、鉄道関係の専門学校というわけではない。すでになんの役にも立たない駅が依然として取り壊されず保存されているのは、我が校の卒業式のためであるという説もある。 ホームの端から端まで、パイプ椅子を二列にずらりと並べて卒業生が着席する。それを送る在校生のほうは、ホーム下の両脇を走る線路上から、ホームを見上げる形でのオールスタンディング形式となっており、…