銀河太平記・213『真・姉崎すみれ物語』
銀河太平記・213『真・姉崎すみれ物語』ダッシュ先生が跳びこんだ窪地には逃げ遅れた十数名の民間人が居た。十数名と曖昧なのは、五体満足な者は三名しか見当たらず、バラバラグチャグチャになった遺体からは直には人数が読めないからだ。二名には見覚えがあった。岡島という技術者夫妻だ。静かの海の深層採掘の見通しを立てるために国交省の依頼を受けてやってきた資源採掘の専門家だ。もう一人は技術者でも専門家でもない、学生風の女性。夫妻の方に外傷はないが、すでに生命反応は無い。女性の方は右半身にヒートパルスを浴びて重度の火傷を負っていたが、辛うじて息はある。先生はハンベを軍事用のトリアージモードにした。一般のトリアージと異なり、軍事用のそれは、軍事的社会的な有用性緊急性をも判定基準にする。そのために、単なる負傷のレベルだけではな...銀河太平記・213『真・姉崎すみれ物語』