神無月の巫女二次創作小説「夜の桎(あしかせ)」(二十一)
暗黒の闇わだのうえには、無数のおろちの社がそびえたっていた。社の鳥居は、階級が高くなるほど高く、太く、立派になる。鳥居とは、空間を異化するための間仕切りである。石柱の古代遺跡がそうであったように、雲を抜き、天を衝くような、血塗りのその鳥居の群列は、見るからに禍々しい瘴気を放っている。上空から見れば、赤黒い薔薇の花びらの連なりに思えなくもない。あるいはまた、とぐろをまいた蛇のすがたそのものか。その呪われた鳥居のうちでも、ひときわ高いのが八基ある。その八基もそれぞれ持ち主によって差がある。このおろちの根城──通称「大蛇の御陰(おろちのみほど)」という。そこでは、夜な夜な、よからぬ者どもの寄合が開かれる。今宵もまた、八人の黒い影が謀(はかりごと)を協議しているのであった。「よいか、おろちの八人衆。赤い月と黒い太陽との...神無月の巫女二次創作小説「夜の桎(あしかせ)」(二十一)