番外編 義理の兄の初恋

番外編 義理の兄の初恋

「乾杯」 誠一は用意されたペアのグラスにシャンパンを注ぐと、二人掛けの応接ソファに並んで座っている澪と乾杯して、軽く口をつけた。なめらかな泡がはじけて芳醇な香りが鼻に抜けていく。 澪もグラスから口を離すと感じ入ったように息をつき、背もたれに身を預けた。「たまには実家でのんびりするのもいいよねぇ。ごちそうにシャンパンにおつまみに至れり尽くせり。あ、でも誠一はあんまり落ち着けない?」「いや、十分くつろ...