KANATA 22
体が怠い。恐らく、熱があるのだろう。体調を崩したかも知れない。 今夜までに、熱は下がるだろうか。 いつも通り、アラームの音で、目が覚めたものの、体を起こすのも面倒で、布団の中で横になったまま、携帯電話の画面を見つめた。 すると、アプリが勝手に起動され、画面の向こう側に彼の姿が映し出された。 熱でボーッとしたまま、画面を見つめていると、彼の声が聞こえた。 『しっかりしろ。今からあの子が来るから。』その声を最後に、私の意識はなくなった。 ーーーあの子が私を呼ぶ声が聞こえる。 「お母さん!」 目を開くと、あの子が心配そうに覗き込むのが見えた。額の冷たさに、心地よさを感じながら、何があったのかと、考え…