バンカラらぷそでぃ ⑥
第六章 ここらは東京に近いわりには起伏のある丘陵地帯で、キャンパスがある場所もその一画だから、そこから下るとなると、車はまるで遊園地のジェットコースター状態。 大型のワンボックスカーとはいえ、箏のように長いものは真っ直ぐに入れると先が一番前まで届いてしまい、運転席と助手席の間に突き出た先端は固定してあっても、ジェットコースターの振動でガタガタと大きく揺れ、俺はそいつを抑えるのに必死で、話をするどころではなかった。 箏だけではなく、三味や尺八、その他の備品が入ったケースも後ろの座席で賑やかな音を立てている。人の気も知らずに、ハンドルを握りながら楽しそうに鼻歌を歌う聖爾、毎日のことで慣れたのか、楽…