あなたの願いが叶いました【16】
少しずつ、私が住む街の灯りが見えてきた。 間も無く、おじいさんとのお別れの時だ。 「今日は、素敵な時間をありがとうございました。」 隣に座るおじいさんに微笑むと、彼は、満足そうに笑った。 チャンスとは、いつでも、思っていたものとは違う形で、 突然、目の前に現れるものなのかも知れない。 夢を叶えなければ、彼には逢いたくないと言ったけれど、 今日、逢えてよかった。 まだ、はっきりと残っている彼の温もりは、私の記憶へと上書きされた。 「本当は、今夜のこの出来事を、忘れてもらわねばならんのじゃ。 だが、約束を守ってくれるのなら、お前の記憶を消さずにいてやろう。 約束を守れるか?」 ブルーグリーンの瞳が…