「どうせなら」。これは父の口癖である。それが母にとっては気に入らないらしい。どうせ、という言葉には、どこか投げやりなニュアンスが含まれている。弁護するわけではないが、これは、「どうせ、わたしなんか」のように、ひがんだ「どうせ」ではなく、「せっかくなら」という意味で言っていると思っていたので、母に言われるまでそのネガティブ性に気がつかなかった。しかし、母と同じように感じる人もいるだろう。親子の口癖は似る(と思う)。これまで、「どうせなら」という言葉が口を突いて出ようとするたびに、「せっかくなら」と言い換えるようにしていた自分にも気がついた。口癖というもの、本人は自覚しないで口にしていることが多い。相手がどう思うかについて、案外無頓着だ。人によって、受け取り方もさまざまである。年下の同僚に、「さっきも言いまし...口癖