KANATA 6
『・・・うん。長い間、ひとりにして、悪かった。』 「え?急に、どうしたの?」 一緒に笑っていた彼は、急に真面目な顔をして、本当は、ずっと一緒にいたかったことや、この世を去らなければならない理由があったことを話してくれた。 『俺は、どう頑張っても、あの日が、最後の日だったんだ。なんて説明したらいいか分からないけれど、 お前が知ってる言葉で言うなら、運命だった。でも、ありがとう。 あの子を立派に育ててくれたんだね。』 彼が亡くなってから、自分が生きているのか、死んでいるのか、 分からない日々を過ごしたこともあった。 これまでのことを振り返りながら、 なんだか、涙が止まらないままに、私は、首を横に振…