姫神の巫女二次創作小説「さくらんぼキッスは尊い」(八)
その時だった――床に転がっていた媛子のスマホが急に明るくなった。着信音がみじかく鳴って、その画面に映し出されたのは…――だが、お取込み中のふたりは幸か不幸か、それを知らない。やおら、媛子のうえにのしかかる豊かな胸の厚みが消えた。千華音がゆっくりと身を起こし、はだけた浴衣の前を合わせて髪を結わえなおしている。ひょっとしてもう終わりだったのかな。おなじく身支度をつくろいながら媛子が不思議がっていると、千華音の背面から踊りだしたのは――抜き身の刀だった。ひょっとして気づかれていたの?死の眠りにつかせようとしたことを――?媛子の顔に冷や汗が流れる。甘い夢は、シャボン玉がはじけるようにあっけなくつぶれた。やっぱり、この厳格な皇月の御神巫女を欺くなんて無理だったんだ…!ああ、ごめんなさい、千華音ちゃん。だが、その刀剣は別の...姫神の巫女二次創作小説「さくらんぼキッスは尊い」(八)