静謐なダークホース 6-3
「何か紙の契約書と代わりがあるのですか?」店主は、顔を傾けて二人に聞いた。代表して弁護士が応える。 「いいえ、まったく同等に扱われます。しいて、デメリットをあげると、そうですね、改ざんの恐れと契約の捺印を味わえないこと、ぐらいなものでして、紛失の恐れもありません」 「では、その契約書でお願いします」 比済は顎を引く。テーブルの改変された文書部分を書き直し、数分の時間を待たされる。店主はまた一本タバコに火をつけた。 「……こちら、ご確認を」ラップトップを画面が店主側に、見えるように回転。引き寄せて弁護士が画面を注視、税理士も眺める。今度は改変箇所のみであるから、確認に要する時間はタバコが灰に消え…