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自作小説を書いてる人

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自作小説を書いてる人の記事

1件〜100件

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー5
    2022/06/27 17:23
    ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー5

     伽奈子が左目に名前をつけようと思ったのは夢のせいである。筋書きのない、場所もわからぬところに伽奈子はぽつんと一人でいる。大勢の人間?が辺りにたむろしているようだが、ときおり大勢の中の一人が伽奈子の前に来る。あるいは前を通り過ぎる。姿はあるがぼんやりとしている。顔の判別もつかないありさまで、一様にぼやけ闇に消されていく。何度目のことだろう。夢の中の誰かが話しかけてきた。どこから話しかけてくるのかは...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー4
    2022/06/25 17:01
    ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー4

     ヒルダ夫人こと緒方佐知枝さんは、伽奈子がイメージしている占い師とは似つかわしくない容姿で降りて来た。まず丸い眼鏡をかけている。まあそんな占い師もいるだろうけど。中背中肉でふくよかな顔立ちをしている。服装はシックなパープル色が強いワインド・アップ。服はどちらかといえば占い師に近い。ただその服の色をあでやかに際立たせるともいうべき貴金属類にいたっては、真珠のネックレス以外何も身に着けておらず、イヤリ...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー3
    2022/06/24 17:21
    ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー3

     初夏もいよいよ色を濃くしていったある日。伽奈子が学校帰りの坂の途中で立ち止まり、ふかぶかと深呼吸をはじめかけた時のこと。ほら見える…と左目に語り始めたそのとき。「かなちゃん。今日もまっすぐ帰るの」と突然話しかけられた。胸でつぶやいた言葉にもかかわらず、話しかけられたことに驚いてごくりと言葉をのみこんだ。伽奈子が後ろを振り向くと同じクラスの宮瀬晴海(みやせはるみ)が立っている。「知ってる?占いの舘...

  • 番外編 公爵家の次期当主は最愛の妻をエスコートしたい
    2022/06/24 16:56
    番外編 公爵家の次期当主は最愛の妻をエスコートしたい

     リチャードは支度部屋の扉を開けるなり息を飲んだ。 そこに盛装したシャーロットがいることはわかっていたはずなのに、それでも圧倒されてしまった。言葉をかけるどころか息をすることさえ忘れたまま、ただただじっと見入ってしまう。 まるで天から降臨したかのようだ。 淡いアイスグレーに星々のようなきらめきが鏤められた、ふんわりと豪奢なドレス。その胸元は大きく開き、いとけない彼女もいつもよりすこし艶やかに見える...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー2
    2022/06/23 16:44
    ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー2

     伽奈子が居心地の悪さを感じるようになったのは、左目の疼きを覚えてからのことである。これまでと変わらぬものが見えながら、しかし、フレームが一枚追加されたような、カラコンが熱を帯びたような、奇妙な違和感。「カナ。左目充血してるよ。大丈夫?」そうクラスメイトにいわれ出してから時々鏡をのぞくようになった。鏡の中で目は確かに赤い。カラコンが浮いたような、あるいは二重になったような感覚。とにかく、目に乾きと...

  • ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー1 
    2022/06/22 18:57
    ふたいろの惑星 一、Star Eyes(虹彩異色症の瞳) ー1 

    これは左右の目の色が異なる虹彩異色症の少女、伽奈子のお話。ある日、レイリー散乱を放つ左目から伽奈子の分身がやってくる。分身は惑星から来たというが、なんのために現れたのか?父を事故で亡くした伽奈子はどうするのか? わたしは自分の左目が好き!伽奈子は鏡を覗くたびにそう言う。しかし…幼い頃だと少し違う。鏡を覗くたびに目をそらした。周りの子供たちからはストレートな差別言葉を何度も投げかけられてきた。たとえ...

  • ふたいろのせかい  4
    2022/06/08 21:09
    ふたいろのせかい  4

       4 ヒルダ夫人こと緒方佐知枝さんは、伽奈子がイメージしている占い師とは似つかわしくない容姿で降りて来た。まず丸い眼鏡をかけている。まあそんな占い師もいる…

  • ふたいろのせかい  3
    2022/06/08 18:25
    ふたいろのせかい  3

       3 初夏もいよいよ色を濃くしていったある日。伽奈子が学校帰りの坂の途中で立ち止まり、ふかぶかと深呼吸をはじめかけた時のこと。ほら見える…と左目に語り始め…

  • ふたいろのせかい
    2022/06/05 19:45
    ふたいろのせかい

       2伽奈子が居心地の悪さを感じるようになったのは、左目の疼きを覚えてからのことである。これまでと変わらぬものが見えながら、しかし、フレームが一枚追加された…

  • ふたいろのせかい 一、Star Eyes
    2022/06/05 08:44
    ふたいろのせかい 一、Star Eyes

       1  わたしは自分の左目が好き!伽奈子は鏡を覗くたびにそう言う。しかし…幼い頃だと少し違う。鏡を覗くたびに目をそらした。周りの子供たちからはストレートな…

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  • 十九、真名歌の願い
    2022/04/12 21:00
    十九、真名歌の願い

     あの頃の私の願いは一つだった。鏡みたいね。そう言われる度に、私は私以上に二人分の嬉しさを覚えた。母がいなくなった悲しさよりも、もっと深く、もっと痛く、もっと…

  • 十八、真夜歌再び
    2022/04/09 08:02
    十八、真夜歌再び

    「きみは、羽衣石樹くん」学校帰り、原陽川に差し掛かったところで羽衣石は声をかけられた。見るとワンピース姿の女性が一人立っている。こちらを見て頭を小さく下げてい…

  • つれづれ  十、春の火
    2022/04/06 16:48
    つれづれ  十、春の火

    今日、春の「火」が訪れ屋根の上をすばやく走っていたときに止まり、ときに屋根から転げ落ち地面の上を無数の足跡になって踏みしめるのではなく地に溺れた冬の子等をあた…

  • 十七、アカアカアカ再び
    2022/04/03 17:32
    十七、アカアカアカ再び

     「この山には研究施設があったんだ」亮の部屋に入るとさっそく陸真は窓を開けた。「ほら、あの山の麓だ。そんな跡はどこにも見つからない。その施設は忽然と消えた。記…

  • つれづれ  九、階層窓辺から
    2022/03/30 17:11
    つれづれ  九、階層窓辺から

    階層窓辺はいったい地上に属すのか。あるいは空に属すのか。地上からの高さだけでいえば、それはまだ地上なのだけれど、そこに座したときに起きる不思議な感慨は高層ビル…

  • つれづれ 八、春の日暮れとおぼわしき…
    2022/03/28 17:44
    つれづれ 八、春の日暮れとおぼわしき…

    春の日暮れはおしろいの白きかすみに紅をひく日暮れの青さ 気持ちの赤さわたしの火はまだ燃えているでしょうかあなたは紅をまだひくのでしょうか春だもの夏ではないもの…

  • つれづれ 七、願はくは…
    2022/03/28 17:44
    つれづれ 七、願はくは…

    籬(ませ)に咲く花に睦れて飛ぶ蝶のうらやましくもはかなかりけり          西行    栄華のときは短いものである。春風に花が散るように、花は内に散華を…

  • 十六、走馬灯
    2022/03/26 16:03
    十六、走馬灯

    「カオスの成分は 分類はここに余すところなく試みられている」  ハーマン・メルヴィル    グウウウーン…zzz…山から聴こえてくる音は単純に増幅しただけでは…

  • つれづれ 六、いつかのつれづれなる重葬
    2022/03/25 18:27
    つれづれ 六、いつかのつれづれなる重葬

    今は遠いブルゴーニュの空は絵の中に血糊に似た粘液質な雲が動きもせず浮かんでいて、頽廃した一日の無念の死から流れた血であろうかなどと考えていると、いつしか夢歩は…

  • つれづれ  五、 春の宇宙
    2022/03/25 16:47
    つれづれ  五、 春の宇宙

    雪に沈んだ廃墟の宇宙は窒息しています足元の石も、凝固土も、秋の骸骨もとにかく 春の夜空には光がありません私は骸骨を掘り出します石をロゼット状に配置し衝動にまか…

  • 番外編 妃殿下は公爵家の新妻をかわいがりたい
    2022/03/23 17:12
    番外編 妃殿下は公爵家の新妻をかわいがりたい

     エリザベスは頭が痛かった。 王妃として、ウィンザー公爵家の跡取りが結婚したことはめでたく思うが、その経緯と相手のことを考えると手放しで喜んではいられない。国王たる夫も一枚噛んでいるというのだからなおのこと——。「そんなことより用件をおっしゃってください」 そう言い放ったのは、件のウィンザー公爵家の跡取りであるリチャードだ。 近況を尋ねたのだが答える気もないということだろう。侍女が淹れた紅茶にも軽く...

  • つれづれ  四、地球製のこころ
    2022/03/23 16:45
    つれづれ  四、地球製のこころ

    町はカーボン紙で仕切られた二次元重層宇宙グローバリズムは個々人の頭の中にあって広大だった地球もいびつな頭に鎮座しているそれぞれの地球は価値観に分断され人種に、…

  • つれづれ  三、無題
    2022/03/22 17:34
    つれづれ  三、無題

     北には青みがかった泥流の雲が渡って行く南には湖沼のように青空があったごく近くの枝に雀が降り立った私に気づかなかったのかそこに落ちた陽だまりに春を浴びたかった…

  • つれづれ 二、哀しみ
    2022/03/20 17:09
    つれづれ 二、哀しみ

     フロントガラスを通して、春のチリに乱反射した陽の光が目を貫く、痛さの中に水色の空が広がり、地はその吐息にゆらめく蜃気楼を醸し出していた。いたる所から地に眠る…

  • 十五、ヒコイの館の真実とは
    2022/03/18 13:38
    十五、ヒコイの館の真実とは

     「浮空という名はじいちゃんのためのもの、その名前でウチだと認めてくれる」顔には切り傷が浮かび、いくつもの青痣のついた腕が痛々しそうだった。浮空はそんな腕をさ…

  • 十四、いつだって意識に名前なんてない
    2022/03/16 21:30
    十四、いつだって意識に名前なんてない

     「何をぐずぐずしとる。逃げるんだ浮空(ふわ)!」「わかってる!ジイちゃんも手をかして!」左腕だけでなく、右腕もがっしりと支えられた。背後に火の粉が見える。火…

  • 十三、ヒコ、響鬼沢に消失す
    2022/03/14 20:56
    十三、ヒコ、響鬼沢に消失す

         『大きな渦は その勢いに力を得て   ぐるぐるまわる小さな渦を含み   その小さな渦の中には これまた   ひとまわり小さい渦がある   こうしてこ…

  • 十二、ヒコイの館
    2022/03/13 15:19
    十二、ヒコイの館

    『こんな線の繰り返しは黄金を作り出すだが地上にこの円を形づくればつむじ風が巻きおこり雷や稲妻を巻き起こそうというものだ』       …マーロウ    「ここ…

  • 十一、ある日、流行神(はやりがみ)は現れる
    2022/03/12 15:26
    十一、ある日、流行神(はやりがみ)は現れる

    『だがそれでもなお「関係」というものは現れるのだ。はじめは小さく、しかし砂の上に伸びる雲の影がまた丘の斜面の形のようにみるみる拡がってゆく関係が…』   …ウ…

  • 十、羽衣石樹、最初の一人
    2022/03/11 13:44
    十、羽衣石樹、最初の一人

     比古村亮(ひこむらまこと)は夕夏にとって少し煙たい存在だ。どこか物事に覚めていて、見方もひねくれているように感じ時がある。それでもお互いの性格や興味のこと以…

  • 九、四方山話と失踪と
    2022/03/10 16:10
    九、四方山話と失踪と

     母の実家で海鳴き地蔵の話を聞いたことがある。地蔵が鳴くと海から津波が来る、という言い伝えがあった。地蔵は小さな社に囲われ、小学校の近くに見守り地蔵としてあっ…

  • 八、三人寄れば…
    2022/03/09 12:47
    八、三人寄れば…

     泉西高の生徒暮林夏穂はこれといって秀でるところのないごく普通の生徒だった。しかし他の二人の友人と比べクラスの中でも身長だけは高かった。すらっとした長身で17…

  • 七、キツネの火
    2022/03/08 13:58
    七、キツネの火

     この町のお稲荷様は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀ったものなのだろうか?それとも…鬼夜叉のような吒枳尼天(だきにてん)を祀ったものなのだろうか?誰が最…

  • 六、まぼろしが花、空にも地にも
    2022/03/07 16:43
    六、まぼろしが花、空にも地にも

     遠野陸真は気象庁の温暖化対策気候変動解析チームに配属されている。海に囲まれた小さな島国にとっては温暖化、そして気候変動は国家予算にすら暗い影を及ぼしかねない…

  • 五、クラスに現れたもう一人 (二)
    2022/03/06 17:44
    五、クラスに現れたもう一人 (二)

      「…確かに、今朝会った人…きみにそっくりだった…あれは、きみの姉さん…だとして…いま死んでるって、聞き間違い。そんなことありえない。確かにそこいて、ぼくは…

  • 五、クラスに現れたもう一人(一)
    2022/03/06 10:15
    五、クラスに現れたもう一人(一)

     亮の現実はどこかでバージョンアップされていたに違いない。。何か得体の知れないものがどこかで亮を捉えたのだ。亮の内側でも自分の存在と係るようなミステリアスなス…

  • 四、…「アカアカアカよ」と少女は言った(二)
    2022/03/05 16:36
    四、…「アカアカアカよ」と少女は言った(二)

      少女は生きた人間なのか、それとも人形なのか…白昼夢に襲われた気分になりながら亮は最初に見た時出窓は開いていなかったことに気づいた。とすれば、少女が開けたの…

  • 三、…「アカアカアカよ」と少女は言った(一)
    2022/03/05 13:03
    三、…「アカアカアカよ」と少女は言った(一)

     高校二年生の比古村亮(ひこむらまこと)はあの大雨が降った日のことをよく覚えてる。とはいえ正確に覚えているというわけではない。六年ほど昔のことだったし、まだ小…

  • 二、津々海町夜話(二)
    2022/03/05 09:39
    二、津々海町夜話(二)

    この年は日本各地に線状降水帯という耳慣れぬ言葉が定着した年で、西日本、東日本に限らずその地域に集中的に大雨を降らせた。梅雨を空の消防車の放水と呼ぶ地方もあるが…

  • ヒコ、アカアカアカに魅入られる  一、津々海町夜話
    2022/03/05 09:12
    ヒコ、アカアカアカに魅入られる  一、津々海町夜話

     津々海市は太平洋に面した美しい港町である。町のほぼ中央を御名代川が流れ、上流では大きく三つの支流が注ぎ込んでいる。この川を境にして右と左に分かれる。右の北側…

  • まぼろし 第三話 「亡霊大統領」その2
    2022/02/25 13:48
    まぼろし 第三話 「亡霊大統領」その2

    特撮で有名な円谷プロの元スタッフのブログです。面白くてためになる「小説」や「お話」「詩」をお届けします。【通常ブログ画面】 からお入り下さい。

  • まぼろし 第三話 「亡霊大統領」その1
    2022/02/15 15:53
    まぼろし 第三話 「亡霊大統領」その1

    特撮で有名な円谷プロの元スタッフのブログです。面白くてためになる「小説」や「お話」「詩」をお届けします。【通常ブログ画面】 からお入り下さい。

  • 番外編 公爵家の騎士団長は新妻のいとこを牽制したい
    2022/01/31 15:35
    番外編 公爵家の騎士団長は新妻のいとこを牽制したい

     それは、休日の朝に響いた呼び鈴から始まった。 常識的にいって来客にはすこし早い時間だ。約束もなかったので、執事に対応を任せて妻のシャーロットとゆっくりダイニングを出ると、そのとき玄関のほうがやけに騒がしいことに気がついた。「さっきの来客か……君はここにいて」「はい」 シャーロットを残し、いささか緊張しながら玄関の様子を見に向かう。よほどの馬鹿でもないかぎり、正面きって公爵家に殴り込みには来ないだろ...

  • 番外編 公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい
    2021/12/17 00:51
    番外編 公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい

     結婚式のあと、ウィンザー公爵家の若夫妻となったリチャードとシャーロットは、しばらく領地で過ごしてから王都のタウンハウスに戻った。この地で、この家で、これから二人の新たな日常が始まるのだ——。「数日したら非番だから、そのときは二人で街に遊びに行こう」 結婚休暇を終え、久しぶりに騎士団の仕事に出かけようというところで、リチャードは見送りのシャーロットにそう言った。唐突だったせいか、彼女はすこし驚いたよ...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい
    2021/12/16 16:41
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい

    結婚式のあと、ウィンザー公爵家の若夫妻となったリチャードとシャーロットは、しばらく領地で過ごしてから王都のタウンハウスに戻った。この地で、この家で、これから二人の新たな日常が始まるのだ——。「数日したら非番だから、そのときは二人で街に遊びに行こう」結婚休暇を終え、久しぶりに騎士団の仕事に出かけようというところで、リチャードは見送りのシャーロットにそう言った。唐突だったせいか、彼女はすこし驚いたように目をぱちくりとさせる。「お仕事のほうはよろしいのですか?」「ああ……」タウンハウスに戻ってからの三日間は、不在時にたまった書類などを処理するのに必死で、とても遊びに行くどころではなかった。だが、もうあらかた片付いたので一日くらいなら問題ない。「急ぎの面倒な案件さえ来なければな」「ふふっ、では祈っておきますね」シャーロ...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい

  • ロックンロール・ライダー:第二十六話
    2021/11/14 17:05
    ロックンロール・ライダー:第二十六話

     朝起きてコンビニで朝食のパンと飲み物を買い、アパートに帰って食事をしながら財布の中身を確認する。 ルイスレザーの革ジャンを買ってしまったり、意図せずラブホテルへ行ってしまったため...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい
    2021/11/04 17:55
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい

    「おまえ、来週末から里帰りするんだってな」文官のアーサー・グレイが王宮にある事務室で書類仕事をこなしていると、騎士団所属のリチャード・ウィンザーがいつものようにふらりとやって来て、締まりのない笑顔でそんなことを言う。こう見えて彼は公爵家の嫡男である。おそらくいずれ爵位を継ぐのだろうが、にもかかわらず騎士という危険な職業に就き、二十代後半になるのにいまだに結婚もせず自由にしているのだ。そんな彼に思うところはありつつも嫌いになれない。アーサーにとってはパブリックスクール時代の同級生であり、誘拐された娘を救出してくれた恩人でもあり、いまは友人とも呼べる間柄だ。ただ——彼のほうは、どうやら友情以上の感情を持っているらしいのだ。あまりにも態度がわかりやすくて周囲はだいたい察しているのだが、それでも本人は何も言おうとしない...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい

  • 番外編 伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい
    2021/10/26 00:39
    番外編 伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい

    「おまえ、来週末から里帰りするんだってな」 文官のアーサー・グレイが王宮にある事務室で書類仕事をこなしていると、騎士団所属のリチャード・ウィンザーがいつものようにふらりとやって来て、締まりのない笑顔でそんなことを言う。 こう見えて彼は公爵家の嫡男である。おそらくいずれ爵位を継ぐのだろうが、にもかかわらず騎士という危険な職業に就き、二十代後半になるのにいまだに結婚もせず自由にしているのだ。 そんな彼...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 騎士志望の少年はいとこの少女を幸せにしたい
    2021/10/12 20:26
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 騎士志望の少年はいとこの少女を幸せにしたい

    「シャーロット!!!」アレックス・グレイは見晴らしのいいところに立つ大樹を見上げて、大きく手を振った。その先には、立派な枝に腰掛けているシャーロット・グレイがいる。彼女はひらひらと手を振り返すと、軽やかな身のこなしで幹を伝って芝生に降り立ち、ふわりと愛らしい笑顔を見せた。「久しぶりね」「うん、元気そうでよかった」「しばらくこっちにいるの?」「二週間くらいかな」アレックスはエヘヘと笑い、半年ぶりの再会となった彼女にあらためて目を向ける。以前に会ったときはすこし見上げるような感じだったのに、いつのまにか同じくらいの高さになっていた。アレックスは、昔からずっとシャーロットのことが好きだった。二歳上のいとこである彼女とは、まだ物心もつかないくらい幼いころから交流があり、だいたい週に一度は弟とともに家に遊びに行っていた。...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編騎士志望の少年はいとこの少女を幸せにしたい

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」エピローグ 〜 公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい
    2021/09/02 22:14
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」エピローグ 〜 公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい

    宴が一段落すると、シャーロットは夫のリチャードとともに引き上げた。すぐに侍女の手を借りながら湯浴みをして寝衣に着替える。公爵家が用意したそれは膝下丈のゆるりとしたドレスで、薄地のシルクながらも身頃の透け感はそれほどなく、繊細なレースやフリルがあしらわれた上品で可愛らしいものだ。「若奥様、緊張なさってますか?」「平気よ」気遣わしげな侍女にニッコリと微笑んでみせる。さすがにこういう状況なのですこし緊張しているものの、落ち着いてはいると思う。ただ若奥様と呼ばれることにはまだ慣れておらず、何となくむず痒いような気持ちになってしまった。「行ってくるわ」そう言い置き、侍女に見送られつつ寝室へつづく扉を開ける。明るい——。てっきり薄暗くなっているものとばかり思っていたが、普通に灯りがついていた。寝台にはリチャードがひとりで腰...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」エピローグ〜公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい

  • ロックンロール・ライダー:第二十五話
    2021/08/15 18:00
    ロックンロール・ライダー:第二十五話

     新人歓迎会の夜から昨日まで、なぜか知らない女とセックスばかりしてる気がする。 僅わずか二ヶ月前まではオナニーのための妄想でしかなかったことが、現実の出来事となり体験しているのだ...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第5話 伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない (前編)
    2021/08/11 16:13
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第5話 伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない (前編)

    アーサー・グレイは、同級生のリチャード・ウィンザーが嫌いだった。彼はウィンザー公爵家の嫡男である。公爵家というのは王家に連なる血筋で、他の貴族とはいささか性質や役割が異なっている。国が安泰であるためには、公爵家が安泰であることが重要になってくるのだ。それゆえに責任が重い。なのに彼はその責任を軽視している。公爵家の人間ともなれば公の場に出ることも多いのだが、彼はごくたまにしか姿を現さない。未成年のうちだけならまだしも十六歳で成人になってもだ。それはすべて彼個人のわがままだという。学業においても真摯に取り組んでいる姿勢が見えない。自主的に勉強している様子はなく、授業中でもぼんやりと窓の外を眺めていることが多い。ときには目をつむって微睡んでいることさえある。「いまは自習の時間だ。居眠りをしていいわけじゃない」「んだよ...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第5話伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない(前編)

  • 第5話 伯伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない
    2021/07/23 22:17
    第5話 伯伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない

     アーサー・グレイは、同級生のリチャード・ウィンザーが嫌いだった。 彼はウィンザー公爵家の嫡男である。 公爵家というのは王家に連なる血筋で、他の貴族とはいささか性質や役割が異なっている。国が安泰であるためには、公爵家が安泰であることが重要になってくるのだ。それゆえに責任が重い。 なのに彼はその責任を軽視している。 公爵家の人間ともなれば公の場に出ることも多いのだが、彼はごくたまにしか姿を現さない。...

  • ロックンロール・ライダー:第二十四話
    2021/06/24 19:00
    ロックンロール・ライダー:第二十四話

     会場を後にする客の流れを見ていると、隣に座る板野先輩が立ち上がる気配がして俺も席を立つ。「帰るっぺぇ。何か食っていくか」「そうっスね、腹が減りましたよ」 ライブで興奮したためか、...

  • ロックンロール・ライダー:第二十三話
    2021/05/21 19:11
    ロックンロール・ライダー:第二十三話

     なんだろうと思い、立ち止まって二人を交互に見ていると、女がバッグから何かを取り出し歩み寄ってくる。 女は俺の目の前で立ち止まり、何かを手にして両手を差し出した。「マガジン出版でヤ...

  • 第4話 侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない
    2021/05/18 15:05
    第4話 侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない

    「ジョン、服を脱げ」 豪奢な椅子にゆったりと座している美しい男性が、尊大に命じる。 その正面に立たされていた八歳のジョンはビクリとして固まるが、すぐ後ろに控えている叔父夫妻に脱ぎなさいと促されて、おどおどしながらシャツ、ズボン、靴下とひとつずつ脱いでいく。 やがてパンツ一枚になった。恥ずかしいというより、何をさせられているのだろうという不安のほうが大きかった。うつむき加減のままチラリと視線だけを前...

  • 第3話 侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない
    2021/05/18 15:05
    第3話 侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない

     そのときまで、ロゼリアは世界でたったひとりのお姫さまだった。 貴族の中でも裕福なクレランス侯爵家に生まれ、蝶よ花よと育てられ、いつどんなときもロゼリアを中心に世界がまわっていた。そして、それをあたりまえのこととして享受していた。けれど——。 それは、五歳になってまもないころのことだった。 ロゼリアは両親に連れられて初めてパーティに行った。敷地外に出るのも初めてだったので、馬車から見える光景にわくわ...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第4話 侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない
    2021/05/10 17:59
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第4話 侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない

    「ジョン、服を脱げ」豪奢な椅子にゆったりと座している美しい男性が、尊大に命じる。その正面に立たされていた八歳のジョンはビクリとして固まるが、すぐ後ろに控えている叔父夫妻に脱ぎなさいと促されて、おどおどしながらシャツ、ズボン、靴下とひとつずつ脱いでいく。やがてパンツ一枚になった。恥ずかしいというより、何をさせられているのだろうという不安のほうが大きかった。うつむき加減のままチラリと視線だけを前に向けると、彼は冷ややかに言い放つ。「下着もだ」言い知れない恐怖にぞわぞわと肌が粟立った。それでも叔父に早く脱ぎなさいと言われると逆らえなかった。全身にまとわりつくような視線から逃げるように目を伏せ、いつのまにか小さく震えていた手をおずおずとパンツにかけた。ジョン・グラミスは、貴族とは名ばかりの貧乏男爵家に生まれた。領地も持...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第4話侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない

  • ロックンロール・ライダー:第二十二話
    2021/05/07 18:28
    ロックンロール・ライダー:第二十二話

     端末室のドアを開けると、板野先輩が両手で頭を抱えたまま動かない姿が見える。 足音を立てないよう近付き隣の空いた席に腰掛けると、先輩がこちらに顔を向けた。「安養寺、丁度いいところに...

  • 十三、蟻の巣
    2021/03/25 14:58
    十三、蟻の巣

     コークランドが部屋の前まで行くとダルコーネの叱責する声が聞こえてきた。「逃がしただと!三人もいるのにどうした。ヤツを操れなかったのか?」「能力のすべてを解放…

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第3話 侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない
    2021/03/15 14:42
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第3話 侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない

    そのときまで、ロゼリアは世界でたったひとりのお姫さまだった。貴族の中でも裕福なクレランス侯爵家に生まれ、蝶よ花よと育てられ、いつどんなときもロゼリアを中心に世界がまわっていた。そして、それをあたりまえのこととして享受していた。けれど——。それは、五歳になってまもないころのことだった。ロゼリアは両親に連れられて初めてパーティに行った。敷地外に出るのも初めてだったので、馬車から見える光景にわくわくしていたが、会場に入るや否やひどくショックを受けた。どうして——。そこには時間をかけて準備したロゼリアと同じように、あるいはそれ以上に、きらびやかに着飾った女の子があちこちにいた。すこし年上の子はきらきらとしたアクセサリまでつけている。まわりの大人たちはロゼリアのことを褒めてくれるけれど、彼女たちも褒めている。そして両親ま...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第3話侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない

  • 十二、胎動
    2021/03/14 17:49
    十二、胎動

     「あの子は今日も眠れない…」「わかっている。ミームの力が働き始めたようだ。あと二・三世代先のことと思っていたんだが…」「この子の中に砂漠が入り込んだのよ。『…

  • 十一、賢者の石
    2021/02/25 17:08
    十一、賢者の石

     隔壁で厳重に守られたソルフォスの塔は終わりの日を生き延び、恐竜が骨を残すように横たわった都市はレヴァナ島という巨大な残骸を地上に残した。滅んだ都市の名はヴァ…

  • ロックンロール・ライダー:第二十一話
    2021/02/19 18:22
    ロックンロール・ライダー:第二十一話

     翌日も、そのまた翌日もプログラムと格闘する日々。帰る時間も十九時、二十時、二十一時と遅くなっていく。 だいたい、プログラムを制御するジェーシーエルという汎用機はんようき向けの言語...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (後編)
    2021/02/17 22:20
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (後編)

    カーディフの街に到着したのは予定どおり夜だった。ここからほど近いグレイ伯爵家にはあした向かうつもりである。今日のところは馬を預けて大通りの宿に泊まった。執事二人は隣の部屋だが、寝るとき以外はリチャードの部屋に居座った。「本当にグレイ伯爵家に行くんですか?」「あたりまえだろう」翌朝、宿の近くにあるカフェで執事二人と朝食をとった。彼らはいまだにグレイ伯爵家に行くことに難色を示している。失礼になるとか迷惑になるとかで。ここに来るまでの道中でもさんざん引き留められたのだが、気持ちは変わらなかった。「さあ、そろそろ準備をして行くぞ……ん?」カフェを出て、着替えるためにいったん宿に戻ろうとしたそのとき——向かいを軽やかに歩く少女が目に留まった。すこし距離があり顔もはっきりとは見えなかったが、それでも見紛うはずがない。「あの...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい(後編)

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (前編)
    2021/02/17 22:20
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (前編)

    俺って本当に信用ないな——。雲ひとつない穏やかな青空の下、ウィンザー公爵家の嫡男であり王都の騎士団長でもあるリチャードは、殊更美しい白馬に乗ったままチラリと後ろを振り返ると、その光景にあらためて嘆息した。二人の執事が、それぞれ栗毛の馬を駆って着いてきている。来なくていい、その必要はない、むしろ来るなと言い渡したにもかかわらず、二人は旦那様の命令ですからと聞く耳を持たなかった。雇い主は父であるウィンザー公爵なのだから致し方ない。この二人は腕が立つので、護衛としての役割を求められることも少なくないが、今回はお目付役としてついてきているのだろう。必ずリチャードを連れ帰るように厳命されたと聞いている。しかし、リチャードにはもとよりすっぽかす気などない。自身が十年ものあいだひそかに待ち望んでいたことなのだ。だからこそ待ち...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい(前編)

  • ロックンロール・ライダー:第二十話
    2021/02/12 18:27
    ロックンロール・ライダー:第二十話

    「安養寺君、その頭はなんだ? 鶏のトサカみたいじゃないか」 声をかけられてハッとし、振り向くと大滝課長が立っている。 カツラで偽装した頭を見抜くような厳しい視線を投げつける課長に...

  • 十、お伽話 遺伝子の記憶
    2021/02/02 17:39
    十、お伽話 遺伝子の記憶

     レイシー!お前の青い瞳は海のようだね。深くてとてもきれいだよ。いいかい。よくお聞き!お前の中には遺伝子の時計がある。その時計はある日目覚める始めるのよ。あた…

  • 九、開戦
    2021/01/30 17:13
    九、開戦

     レヴァナ都市歴レムス24期太陽暦112日の朝こと。琉奈主の教主ラヴィウス・ビンデスのもと、先史代の火器、その巨大な鉄の塊が三つの角を掲げ地の底からゆっくりと…

  • 八、都市「論議は尽くされ、主題は隠される(2)」
    2021/01/13 18:03
    八、都市「論議は尽くされ、主題は隠される(2)」

    「きみは何を…」そう言いながら副長官が立ち上がったが、騒ぎ始めた者たちで会議は紛糾し始めた。質問が飛び交い、ダルコーネへの非難が相次ぐ。長官が裁判官のように、…

  • 第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい
    2021/01/13 14:35
    第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい

     俺って本当に信用ないな——。 雲ひとつない穏やかな青空の下、ウィンザー公爵家の嫡男であり王都の騎士団長でもあるリチャードは、殊更美しい白馬に乗ったままチラリと後ろを振り返ると、その光景にあらためて嘆息した。 二人の執事が、それぞれ栗毛の馬を駆って着いてきている。 来なくていい、その必要はない、むしろ来るなと言い渡したにもかかわらず、二人は旦那様の命令ですからと聞く耳を持たなかった。雇い主は父である...

  • 七、都市「論議は尽くされ、主題は隠される(1)」
    2021/01/12 17:26
    七、都市「論議は尽くされ、主題は隠される(1)」

     都市の中枢では激しい議論が交わされていた。集まったのは二十四名の節騎員。節騎員とは階層の節目で選任された長である。彼等にシティの未来が託されていた。「いよい…

  • アパルトマンで見る夢は 1 椅子
    2020/12/31 10:08
    アパルトマンで見る夢は 1 椅子

      白髪頭の監督は、お辞儀をするように下を向き、その顔を両手で隠した。 体が前へ傾いたことで、彼の座っていたパイプ椅子が、キィ……と小さな音を立てた。 静まり返った広い部屋に、その音だけが通って聞こえた。 数秒後に、ピタピタ、と、裸足の足音が近寄ってきた。 自分のすぐ正面で止まるのを、監督は闇の中で感じ取った。 両手をそっと顔から下ろして、目を開くと、白くて細い足が二本、キレイに揃っているのが見えた...

  • 稲妻トリップ 1 さっき……
    2020/12/31 10:05
    稲妻トリップ 1 さっき……

      高架下の水面(みなも)に、街灯の明かりが落ちて揺れていた。 淡いオレンジ色の光と、薄暗い夜の青さが入り混じる。 俯いた顔に冷たい風が吹きつける。 ほんのりと、潮の香りを運んでくる。 車のライトが背中で輝き、速いスピードで過ぎ去った。 毎日見ている。 足を止めて、橋の上から。 そこは、道路を仕切る白線の中。 深夜になると、交通も少ない。 誰にも入ってきてほしくないの。 ただ一人で、私は海を眺める...

  • エンデュミオンの夜明け 六、都市への侵入…
    2020/12/30 17:18
    エンデュミオンの夜明け 六、都市への侵入…

    「あいつら(痲流人)を信じるのか?」李夏流の真意を推し量るかのように琉伎が聞いた。今二人は斥候として都市の近く、ごつごつとした岩場の陰にいる。いよいよ明後日に…

  • ソレイユの森 1 シュー教授
    2020/12/30 10:31
    ソレイユの森 1 シュー教授

      大学の研究室で教授を務めていたしゅういちは、漢字で「周一」と書く。 同僚や教え子たちは、親しみを込めて「いち」を伸ばす発音にし、「シュー教授」と呼ぶことにしていた。 歳は四十過ぎ。毛量は多いけれど、白髪を染めないので老けて見える。 しかし性格は明るく、人当たりも優しかった。 生徒の勉強を、その子が解かるまで親身になって指導していた。 親身になり過ぎたのかもしれない……。 あとになって、シュー教授...

  • 月のライン 1-1
    2020/12/29 10:33
    月のライン 1-1

      フェリーに乗って30分、本土から16キロと、さほど離れていないその島は、観光地として人気があった。 島、といっても南の楽園ではなくて、船が上陸する港には、たしょう砂浜がある程度で、島を支える地面には、そのほとんどに硬い石畳が敷き詰められていた。 上に建つのは、中世の面影を残した建物。 太い木枠が入り交じり、みな同じような朱色の屋根に、白い壁。 花を飾った出窓に揺れる、レースのカーテン。 ドアには飾...

  • 回る円盤
    2020/12/28 11:05
    回る円盤

      その時、少年はまだ言葉も知らぬ赤ちゃんだった。 母と、ベビーカーに乗せられて、連れ出された散歩の途中で、少年はあるものに目が釘付けとなった。 ベビーカーから見上げたその先に、くるくると回る円盤があった。 なぜ円盤があるのか、なぜくるくると回っているのか、しかし少年は0歳だったので、母親に尋ねようとしても、ただ「あー!」としか言えないのであった。 円盤は回る。 ただくるくると、その場で回り続ける...

  • わたる君の日記帳
    2020/12/27 09:46
    わたる君の日記帳

      ある日の放課後、わたる君は横断歩道の向こうから、一人のおじさんが歩いてきて、話しかけられた。「やぁ、やっと会えたな」「おじさんだれ?」 わたる君はおじさんの顔を見た。 どこか自分と似たような目をしている。「親戚の人?」「とりあえず止まって話さないか?」「えっ、横断歩道だよ。信号が赤に変わっちゃうよ」 わたる君が足を進めようとするが、おじさんはわたる君の腕を、がっしり掴んで放さなかった。「助けて...

  • 不思議な絵
    2020/12/26 10:48
    不思議な絵

      美術部のあいちゃんは、ある日先生から、有名な画家の絵を見せられた。「この人はきみたちと同い年の青年だ。なのに、こんなにリアルな絵を描いている。参考にしなさい」 その画家の名前は、こうくんといった。 特に、人物画がうまかった。 今、個展を開いていて、世界中を回っているらしい。 もうすぐ日本にも来日する予定だった。 あいちゃんも会いに行こうと決めた。 ある日、TVの取材で、こうくんの新作が発表され...

  • 輪廻転生
    2020/12/20 11:05
    輪廻転生

      いつも同じ夢を見る。 女の子が話しかける。「あなたの寿命の一年を、私にくれると約束したら、好きなものをあなたにあげるわ」「あげるさ」 と、その男は言う。 どうせ夢の中の話だ。 現実には関係のないこと……。 翌日、男は好きなものを手に入れる。 そしてまた夢を見る。「今度は何くれる?」 男は女の子に、寿命を一年分ずつ渡しながら、欲しいものを手にする。 そのうち、夢の中の女の子が成長し、大きくなる。「...

  • シャツ
    2020/12/19 08:55
    シャツ

      シャツは、「自分はどうしてこんな人に着られているんだろう」と、納得がいきませんでした。 シャツは、ショーウィンドーのマネキンに着られているのが、一番でした。 華やいだ人通りから、たくさんの視線を集めていたのですから。 今、シャツは試着室にいます。 おばさんに着られて、鏡と向き合わされているのです。 ちょっと太いおばさんは、シャツのボタンを引きちぎりそうです。 シャツは、ショーウィンドーに早く帰...

  • 3人の宇宙人
    2020/12/13 09:55
    3人の宇宙人

      高度な文明の発達した星から、3人の宇宙人が地球に来た。 地球人は友好をはかるため、手厚くもてなすことにした。 まず、長旅で疲れていると思ったので、マッサージを受けさせた。 すると宇宙人はこう言った。「なんてことだ、凶暴な地球人め。こんなに体をつねられて、憤慨だ!」 今まで高度な星にいて、重力も軽いせいか、体が凝ることもなかったのだ。 次に、仕方がないのでお灸士に来てもらい、お灸で和んでもらおう...

  • なぞの声
    2020/12/12 09:56
    なぞの声

      新人の宇宙警察官は、一台の宇宙船に乗って、宇宙をパトロール中だった。 彼はまだ新人なので、早く手柄を取りたいと常々思っていた。 近々昇級試験があると聞いていたが、いつのことになるか、まだ未定だった。 だから日頃から手を抜かずに、訓練しておかなければならない。 今日も自ら宇宙船に乗り込んで、危険な異物などないか、パトロールに精を出していたのだ。 宇宙には、地球から出たさまざまなゴミが漂っている。...

  • ダイブ
    2020/12/06 08:54
    ダイブ

      おれは大きく息を吸い込み、潜った。 これはおれ自身の戦いだ。 もうこれ以上潜れないところまで、潜った。 こんなに潜ったのは初めてだ。 息が苦しい。 肺が圧迫され、頭に血の気が回ってくる。 く、くるしい……。 しかしやらねばならんのだ。 おれは負けない。 負けないぞ! このままの状態を維持することに、全神経を集中させた。 何秒耐えれるか、数を数える。 おお! 新記録だ!! ついにやった。 おれはや...

  • 天国と地獄の狭間で
    2020/12/05 08:49
    天国と地獄の狭間で

      ここは天国と地獄の狭間。 死んだ人間が天国へ行くか地獄へ行くか、生前の行いの善し悪しで、審判人に判断されるのだ。 どうやら俺は死んだらしい。 56歳という若さで死ぬなんて、俺にはまだやり残した仕事があるというのに、病気には勝てなかったか。 俺はある大きな企業の社長で、信用も厚かった。 しかしその分、多大な責任と負担がそこにはあった。 俺は皆のために、そして家族のために、必死で働いた。 無理をしす...

  • 教えてくれ
    2020/11/29 10:56
    教えてくれ

      ある日私は、通り行く人たちが、私のことをじっと見ていることに気づいた。 それはまるで、何か得体の知れないものでも見るかのように、恐ろしそうに、脅えていた。 ふと視線が合うと、すぐに目を逸らすのだ。 子供たちは私を指差して驚き、笑い出す子もいた。 私は何だか不気味に思った。 私の顔に何かついているのだろうか、そう思い、不意に取り出した鏡を見てみたが、いつもと変わらない姿がそこにはあった。 どこへ...

  • ヒーローの敵
    2020/11/28 09:44
    ヒーローの敵

      宇宙から、変な敵が降ってくるようになって、早一年。 でも大丈夫。 地球には強い味方、「イズミくん」というヒーローがいたのです! 今日も人々は、宇宙からやってくる、謎の宇宙人に襲われていました。 宇宙人は、そこらへんに生えている木を投げ飛ばし、ビルを破壊し、手あたりしだいに食器を投げたりするのです。 とても危ないので、見てられません。 人々はいっせいに口をそろえて、「助けてー! イズミくーん!」...

  • ロックンロール・ライダー:第十九話
    2020/11/24 19:15
    ロックンロール・ライダー:第十九話

     仕事に戻り、再び始まるプログラムとの格闘。 向かいの席に座る薮田さんを見ると、左手で頭を抱えながら体を揺すっており、なにかブツブツと呟つぶやいている。(集中しすぎて独り言でも言...

  • かくれんぼ
    2020/11/23 09:20
    かくれんぼ

      私たちは、かくれんぼをして遊んだ。 体の小さな者は、すぐに見つかった。 そして、大きな者に食べられたりもした。 体の大きな者は、あまり隠れられる場所がない。 私もそのうちの一人だった。 周りを見回してみても、私より大きな木は生えていない。 私が一歩前へ進むと、大きな地響きが起きる。 おそらく私は、地球上始まって以来、この世で最も大きな存在であろう。 そう、私は恐竜。 私は大変よく目立った。 遠...

  • 人生の散髪屋
    2020/11/22 10:40
    人生の散髪屋

      ――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる―― 最近、彼氏に振られたデコちゃんは、外見から変わりたいと思い、その散髪屋へ入った。 古ぼけた建物はこじんまりとして、店内の鏡も錆びついていた。 何か怪しいな、とは思うものの、デコちゃんは店の主人に、自分のなりたい髪型を口で伝えた。 主人は50歳くらいのおじさんで、頭が寂しい。 デコちゃんの髪の毛をしばらく見つめて、「本当にいいんだね?」と確認...

  • スランプの怪物
    2020/11/21 09:31
    スランプの怪物

      あるところにSF作家がいた。 彼はスランプに陥っていた。 そんな中、突然彼の前に、大きな怪物が現れた。「な、なんだお前は!!」「俺はあんたの産物さ」 と怪物は言った。「あんたが困った時に、あんたの脳みそを通して出てくる仕組みになっている。言ってみりゃ、俺を喋らせているのは、あんたの考えによるってもんだよ」「そんな、まさか、信じられない……」 作家は困って、近くの人に呼びかけた。「誰か、この怪物が...

  • 平凡
    2020/11/15 10:40
    平凡

      俺は退屈していた。 特に頭が良いでも悪いでもないし、ルックスだって良くも悪くもない。 特別運動神経にすぐれているというわけでもなく、いわゆるどこにでもいるような、いたって普通のつまらない人間である。 そんなつまらない人間は、やっぱり大きくも小さくもない中小企業の事務員として入社して、早くも3年の月日が経とうとしていた。 毎日の仕事といえば、上司から言われたことを地道にこなし、時には電話でのクレ...

  • ドッキリ大作戦!
    2020/11/15 10:39
    ドッキリ大作戦!

      お笑いピン芸人の鈴木は、最近、悩んでいた。 自分のギャグがヒットしなくなったのだ。 しかも、新人の芸人がどんどん出てくる。 若手に客を持っていかれ、TV出演もほとんどなくなってしまった。 最近では、山田とかいう二十歳そこそこのピン芸人が、ブームらしい。 お笑いのくせにルックスもよく、女子のファンも多い。 下積み時代も浅く、芸歴十年の鈴木にとっては、とんでもない強敵となった。 バラエティ番組のプ...

  • 第1話 伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい
    2020/11/14 17:58
    第1話 伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい

     明日、わたしは顔も知らないおじさまと結婚するために旅立つ。だから——。 伯爵令嬢のシャーロット・グレイは部屋の窓をそっと開いた。 その向こうには雲ひとつない抜けるような青空が広がっている。降りそそぐ光はとてもまぶしい。きっと雨にはならないだろう。どうか今日だけは晴れますようにと天に祈った甲斐があった。 準備は万端だ。 この時間なら庭に使用人がいないことも確認済みだし、屋敷内から目につかない経路も調...

  • 脱獄
    2020/11/14 09:29
    脱獄

      目が覚めると、いつの間にか新人がやってきていた。「やぁ、おはよう。初めまして」「初めまして。ところで……ここはどこだい?」「ここは監獄だよ。入れられた者は、二度と外には出られない」「そんなぁ……」「ほら、あそこに机と椅子が見えるだろう? 看守がいてね、そいつが夜になると、決まってそこに座るんだ。そして僕らを、オリごしに眺める。何か、晩ご飯を持参してくるよ」「僕たちのご飯はいつだい?」「何のん気なこ...

  • エンデュミオンの夜明け 五、一角獣の岬
    2020/11/13 16:32
    エンデュミオンの夜明け 五、一角獣の岬

     俺が住むここは砂漠に浮かぶ高地。この星に見放された不毛な島だ。都市の奴らは知らんが、ここ馬駆嵐ではそうだ。島の名をレヴァナ島という。この星は生きている。それ…

  • エンデュミオンの夜明け 四、戦いの承前
    2020/11/10 17:21
    エンデュミオンの夜明け 四、戦いの承前

     神は時として砂漠の丘を越えてやってくる。予言は高地レヴァナの南の地に降りた。神の丘が太陽に向かってせりあがり、白い衣の集団が丘を目指した。丘は南に開け放たれ…

  • エンデュミオンの夜明け 三、ゼロポイントのイヴァン
    2020/11/08 18:04
    エンデュミオンの夜明け 三、ゼロポイントのイヴァン

     「イヴァン!よく寝るな。『声』にやられたんじゃないだろうな?」そう訊いて来たのは中隊長ダルクである。「いやぁ、夢ですよ。」そう答えた。「夢だと。お前夢を見る…

  • ランナー
    2020/11/08 09:52
    ランナー

      私は走ることが好きだ。 走り続けることで、生きていることを実感できる。 とりわけ、雨の日が好きだ。 体を潤おし、乾いた心に染み渡る。 だから私は、雨の日でも走る。 ある日、私は、友達と賭けをした。 私がよく走るので、一年のうちに、この世界を一周できるか、賭けようというのだ。 体力には自信があったので、私はこれから一年間、走ってきて、必ず戻ると約束した。 友達は、もし私が勝ったら、豪華ディナーを...

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