「酒森さん… ちょっと…いいですか?…」 「ん? どうしたの?」 「あの……… 酒森さんって 法人営業部の鯖戸さんと 仲良いですよね………」 「ああ…うん……」 「実は明日 鯖戸さんのお手伝いしてくれって 課長に言われて……」 「ああ……… そうなんだ………」 「あの…」 「ん?」 「私… 鯖戸さん……… あの… こ… 怖くて……」 「え?何で? 鯖戸先輩めちゃくちゃ良い人だよ?」 「私… 偏見とか良くないって 解っては居るんですけど… 入れ墨とかピアスとか… そういうの入れてる人怖くて…………」 「ああ……… あのね…… 大丈夫だよ? 鯖戸先輩入れ墨入れてないよ?」 「え? でも…… トライ…
かつてギャングの一員として殺人を犯し服役していた黒人のアイクは、現在では更生し小さな造園会社を営んでいた。そんなある日、息子のアイザイアが同性婚相手の白人男性デレクとともに撃ち殺されたと知らされる。デレクの父親で、同じく服役経験のあるバディ・リーから犯人捜しを提案され一度は断ったアイクだが、息子たちの墓が何者かに穢されたことでバディ・リーと二人で犯人に復讐することを決意した。 昨年刊行された『黒き荒野の果て』は、裏社会から足を洗った主人公が、生活のため、家族を守るために再び暴力の世界へ戻ってゆく、派手なカーアクションが迫力満点に描かれた優れた犯罪小説でしたが、本書もそれに勝るとも劣らない、むし…
日々の恐怖 11月20日 Reserved seats(1)
日々の恐怖11月20日Reservedseats(1)雰囲気の良いジャズ喫茶だった。中に入るとコーヒーのかぐわしい香りが漂い、音楽は耳に心地よい。何時間でも居座れるような空間で、実際店内にはいつも、長居の常連客の姿があった。現在切り盛りしている店主は二代目で、初代は戦後の混乱期、小さな定食屋からこの店を始めたそうだ。そして晩年、念願だったジャズ喫茶へ趣旨変更したらしい。この店のカウンターの一番奥の席には、いつでも予約席のプレートが置かれている。しかし、実際に誰かが座っていることはない。その席は、先代店主の戦友専用のものらしい。先代店主は戦時中、出征先で戦友たちと夢を語らった。そして、いつか自分が大好きなコーヒーとジャズの店を開くから、その時はお前たち必ず来いよと約束したそうだ。先代店主はなんとか生きて帰る...日々の恐怖11月20日Reservedseats(1)
~ BARで 鯖戸 ~ 「ねえ… バーテンダー………」 「はい?」 「今日のマティーニさぁ……」 「いつもよりドライに…… ですね……」 「……うん…… ………… この歯茎に刺さる感じ………… たまんないな……… …… ねえ…バーテンダー… 今夜は何か和風な気分なんだけどさぁ……… 純米の熱燗と 和風パスタって出来る?」 「丁度今出来上がったところです」 「ねえ…バーテンダー……」 「はい?」 「もう心読まれんの慣れちゃってさあ…… 最近あんま気になんなくなっちゃったよ………」 「どうぞ… 純米の熱燗と和風パスタです 納豆とおかか それに収穫したての芋葉や水菜も用い 味噌ベースで圧搾菜種油の仕…
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ 「あいつ……… いじめの主犯格だったんだ……… お前…… 知ってたか?………」 私は首を縦に振った…… 「だから私は あいつに…… いじめられる側の気持ちを 解らせてやりたいと思った………… ……………… というのは嘘だ……………」 私がまた頷くと…… 先生は少し笑って…… 「毎日ゲームをして居た……… 朝あいつを縛って 外に放置する…… いつも違う場所に縛り付けた……… 今日はシーソーだった…… 一旦ここに戻って 紅茶を1杯愉しんでから…… 迎えに行く………… まだそこに独りで居れば… ゲームは続行……… もしそこに居なかったり 他の誰かが居たりしたら…… ゲームオ…
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