【書評】早坂隆『幻の甲子園 ~昭和17年の夏 戦時下の球児たち~』
昭和17年に実施された幻の甲子園のルポです。 昭和十七年の夏 幻の甲子園 戦時下の球児たち (文春文庫)作者: 早坂 隆出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/07/19メディア: Kindle版 戦時中、朝日新聞が主催する甲子園は中止となりました。 ところが昭和17年になり、文部省とその外郭団体の主催で復活します。 主催者が異なるということで昭和17年の甲子園は公式記録には含まれず、「幻の甲子園」として知られるようになります。 国が主催したためか「ローマ字禁止」「選手交代禁止」「死球から逃げるの禁止」など奇妙なルールが定められます。おまけに準決勝2試合目が雨天順延のため、ダブルヘッダーで決勝戦というかなり無理なスケジュールになってしまいます。 本書はこの甲子園に出場した16校、全15試合を、すべて取材して再現した渾身のルポです。 取材時が平成21..
正直まだ迷ってる。 迷っているんだよ俺は。俺らしくねーよなー。って、自分に呆れるくらい迷ってる。『アイツ』のことだからなんだよな。俺も相当なんだよなぁ。 そんなこと考えながら石畳の上を歩いた。 まるでエアポケットだなこの場所。本当に静かだ。 周りを見回す。あの背の高い木たちが音を遮断しているんだろうか。 ・・・・・・ここには、何度来ることになるんだろう。「――――――まだ、・・・・・・信じらんねーんだよなぁ」 その呟きに呼応するみたいに周囲の木々がざわわと揺れた。「考えたって、しょーがねーんだけどさ」 風が吹く。俺は息を吐き出した。「社長(かーちやん)も頑張ってくれてるしな」 マジで。小っちぇ…
【公募情報】第28回伊豆文学賞(掌編、短編・9/16、9/30〆)
短編だけでなく掌編部門があるのが嬉しいです。 〔主催者HP〕 https://www.pref.shizuoka.jp/kankosports/bunkageijutsu/bunkaevent/1041162/1044340/1061496/1063091.html 募集部門は小説、随筆、紀行文、掌編があります。 規定がいろいろ異なるので、小説と掌編だけ紹介します。 掌編の公募は貴重なので、ぜひとも続いて欲しいと思っている賞です。 部門によって応募締切が異なるので注意してください! 〔募集要項抜粋①〕 募集内容:短編小説 テーマ :伊豆をはじめとする静岡県内の自然、地名、行事、人物、歴史などを題材 最優秀賞:賞金100万円 制限枚数:原稿用紙30~80枚 応募締切:令和6年9月30日 応募方法:郵送、メール 〔募集要項抜粋②〕 募集内容:掌編 ..
梅雨の時期はいろいろと予定が立てにくいです。 【第202回のメュー】 ◆公募分析・第11回星新一賞 ◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第33回) ◆プラスのショートショート1~3 ◆公募情報数点 来月は昨年度の星新一賞受賞作の分析です。今年の傾向はどうなのか。 8月発行は8月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください! 【ショートショートガーデン】 名画からインスピレーションを受けたショートショートシリーズその18 〔名画でショート019名画でショート『子供の遊戯』(ピーテル・ブリューゲル)〕 https://short-short.garden/S-uCTwLq 【小説でもどうぞ】 その1~その3まで推敲する。だいたいこんな感じかなあ。アイデアとしてはその3が好きなのだが、いいオチが思いつかない。たぶん、このまま投稿する可..
「わたしのねふるさとむしのやみのなか」この「中七」「下五」に「虫の闇」を分けて表現することを「句またがり」と言います。あまり使わないのですけど、プレバトでもよく使っている表現方法です。でも、これはちょっと十七音しかつかえないのに、五音を「わたしのね」はありませんよね。言いたいことは「故郷は虫の闇の中」だけじゃないでしょう。もっと言わなけきゃと思いますよね。で一句「ふるさとはむしのやみのなかのおく」でどうでしょう。虫の闇に奥行きが深くなったと思いませんか。それとも小さくなったイメージかな。ここで「や」の切れ字を使って故郷の一般化。「故郷や虫の闇の中の奥」「の」が三度使ってるけどあまりリズムが良くないですね。中が六音だし、「ふるさとや灯りの下の虫の闇」どこか街灯の下にある茂みをイメージしてますが、もうちょっと...NHK俳句「故郷」3
「故郷の悪口言って遠花火」の前に「帰りたいふるさとですか遠花火」と言うのがあったのです。所謂「望郷」の念ですね。この望郷は類想ですね。「故郷は遠くにありて思うもの」ですね、これは類想モロありです。で「故郷の悪口言って」になるのですけど、これはまさに「遠くにあって思うもの」です。この室生犀星の句は次に「そして悲しくうたふものよしやうらぶれて異土の乞食になろうとも帰るところにあるまじや」と続くのです。そう強烈な故郷への惜別のそして望郷の詩なのです。これを意識したのですけど、その根底はやはり望郷ですね。特に「遠花火」の季語が望郷の念が強いです。「嫌いなの故郷なんて遠花火」と嫌いと言っても望郷感あります。季語「遠花火」がある限り望郷の陰が消えないので、捨てます。でどうしよう一句。「忘れたわ故郷なんて遠花火」の「遠...NHK俳句「故郷」2
2050000ヒット、ありがとうございました!『ラズーン』第七部 3.武君散る(3)
**************** 「…そろそろここも危なくなってきたようです」 イルファの声にレアナが顔を上げた。『氷の双宮』で退避する人々の選別をするアシャに付き添って、そのまま残るかと思われたの
「小説ブログ」 カテゴリー一覧(参加人数順)