「さて、どうするか…」口橋は足元の革靴を見ながら言うでなく口を開いた。山道を歩くには分不相応な靴である。「かなりの距離ですかね?」「さあな…。今の男も行ったことがねぇ~って言ってたからな…」「どうします?」「どうしますも、こうしますも、ねぇ~さ。俺達ゃ刑事なんだぜ。行くしかねぇ~だろ、鴫田」「ですね…」二人は初老の男に言われた麓の細道からゆっくり登り始めた。鴫田のショルダーバックの中には、コンビニで買った茶のペットボトルがまだ、半分ほど残っていた。口橋はいつも水筒を肩から掛けて捜査する刑事で、署内でも有名だった。十五分ほど右に左にと登ったとき、前方の樹木の間に庵(いおり)らしきものが見えた。「口さん、あれは?」「婆さんの庵か…」二人はその庵らしき樹々が繁る地点へと少しづつ分け入っていった。数メートル前まで...ユーモア推理サスペンス小説無い地点<12>
HOSアディ環境でグランドマスターになりました! 1500くらいまでは絶望ドラゴン、1500~グラマスまではトリモン入りテイカーネクロ一本でした。 使ってみ…
この地区の島は、サンゴ礁で出来ているため、耕作地が少なく、重税感は過酷を極めたとの事。 島々には石を高く積み上げた、見晴らし台があり、税金取締役人の船を発見すると、各島へ狼煙で連絡され、村長は、税金対象物を隠させ、島一番の美女を引き連れ、少しでも納税額を軽くするよう、役人を饗応し、村人を守ったと言う。 島人達が、汗にまみれ積み上げた見晴らし台、ささやかな税金逃れをし、生き延びる、歴史と知恵の結晶でした。 国民の生活を守るのが、政治家。 税金逃れや天下りが、取りざたされる毎日。 都会にひしめくサラリーマン。 どうあがいても、逃れられないのが税金。 マイホームは遥か彼方。 やっとの思いで確保して、月々支払うローンと税金。 ガツーン、カツーン、心はコブだらけ。 どうしたらよいのでしょうか? 仕方ありません、見晴らしのいい、東京スカイツリーへ上り、叫びましょう。 沖縄県3番目に大きな石垣島は人口..
そして、この残された自然を観察すると、動物たちは、月の引力による旧暦での行動。 黒島では、旧暦の決まった日の満潮時、島中のカニが、一斉に海へ向かい産卵をします。 道路や砂浜までが、足の踏み場もないくらい、カニで埋め尽くされ、これ程のカニが生息していたのかと思わせる数。 海は、卵で赤く染められ、殆んど魚の餌食になる中、わずかながら、生き残って行くのです。 甲羅が5センチ以下のカニ、どうやって産卵日を計算しているのだろうか? 年に一度、間違いなく日時を計算し、一斉に産卵する自然の営み、一度は都会の子供達に見せたいものです。 また、日本では、唯一亜熱帯気候に属するこの地区は、2月に入ると、気温が二十二、三度にも上昇し、どっと春風が押し寄せ、百花繚乱の季節。 もし桜があれば、間違いなく正月には咲くでしょう。 3月には日本一早い海開きが行われ、暖かい春風が、沖縄本島へ九州へと北上、日本の春は、八重..
「すいません…」口橋(くちばし)は玄関扉横のチャイムを押し、声をかけた。しばらく待っても応答がない。口橋は再度、チャイムを押した。『ピンポ~~ン』と響く音が建物の内部からしたが、やはり応答がない。「留守ですかね…」鴫田(しぎた)がボソッと口を開いた。「…かな?」口橋はもう一度、チャイムを押そうとした。そのときである。息を切らせた男の声がした。『は、はいっ!二階にいましたもので…。あの、何か?』「警察の者です。ちょっとお訊(き)きしたいことがありまして…」『今、開けますので…』バタバタと入口へ近づく気配がし、ガチャリ!とドアが少し開いた。中から初老の男が二人を覗き込み、ドアチェーンを外した。口橋と鴫田は玄関へ入り、警察手帳を背広の内ポケットから出して提示した。「麹町署の口橋です」「鴫田です」「はい…」「この...ユーモア推理サスペンス小説無い地点<11>
坂本トンネルの前方左側道路横に車の一時休憩場が見えた。「西東京バス、坂本園地か…。よし、ここで変わろう!」口橋は、すっかり疲れていた。鴫田は口橋の言葉を聞き、口さんも年だな…と、思うでなく思った。^^車を止め、二人はしばらく休むことにした。途中のコンビニで買った茶のペットボトルとサンドウイッチでとにかく腹を満たした。「口さん、来過ぎたんじゃありませんか?しばらく走れば峰谷橋ですよ…」「…だな。だが、鴫田(しぎたに)、婆さんが籠りそうな地形じゃねえか…」「それもそうですね…。民家が見えれば、ここら辺りで止めましょう…」「ああ、このままじゃ甲府へ抜けちまうからな…」意味もなく二人は、ははは…と呵(わら)い合った。峰谷橋を越えた地点に自由乗降バスのパーキングエリアがあった。とはいえ、トイレと駐車スぺース以外、店...ユーモア推理サスペンス小説無い地点<10>
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